無能力批評―労働と生存のエチカ 作者: 杉田俊介出版社/メーカー: 大月書店発売日: 2008/05/01メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 258回この商品を含むブログ (43件) を見る 2008年6月22日熊本日々新聞掲載 秋葉原の無差別殺傷事件が起きたとき、私はちょうどこの本を読んでいた。そして、杉田さんがこの本で何度も執拗に考え続けているテーマが、秋葉原の事件に二重写しになって迫ってきた。事件の容疑者が犯行に及んだ動機として、格差社会の問題や、学歴に関するの劣等感などが報道されている。 容疑者は派遣社員だったとされる。杉田さんもまた、不安定な職を次々と渡り歩き、現在は介護労働者として働くかたわら、「フリーター」についての言論活動をしている。だが、格差社会の底辺部からこの社会の矛盾を撃つ、というような内容を期待して本書を読んだとしても、肩すかしをくらうだろう。なぜなら、著