『鉄腕アトム』の放送開始から50年。時代とともに進化をとげ、今や日本を代表するカルチャーとして定着したアニメーション。そのアニメに欠かせない存在といえば、やはり声優だ。本来は裏方だったが、いつしかスポットが当たるようになった。過去の声優ブームをひもとけば、アニメの裏側がみえてくるのではないだろうか。 *** アニメーション周辺の文化でありながら、独自の受け入れられ方をしてきた声優文化。 まず最初の声優ブームは、アニメではなく洋画・海外ドラマ人気がもたらした。当時、国内のテレビ局は独自コンテンツを作る予算に乏しく、海外の作品を放送していたが、そこで必要とされたのが吹き替え声優だった。彼らは声優とは名乗っておらず、あくまで舞台役者などが副業として吹き替えをしていた。アラン・ドロンに声をつけて若い女性の間で大人気になった野沢那智も、もとは劇団運営の失敗で作った借金を返済するために声優を始めたとい