同分野で先行する米国を含め、その言葉の定義についてはさまざまな意見があるが、本稿がこれから紹介しようとしている不動産テックの姿をここではっきりさせておきたい。すでに金融業界で話題になっているフィンテックと同様に、業務プロセスや特定の作業を効率化するためのIT化にとどまらない概念だ。 たとえば、民泊ビジネスで一躍有名となったエアビーアンドビーは、自宅を貸したいホストと旅行などで滞在したいゲストをWebサイト上でマッチングすることで、これまで特定の世帯が永続的に占有していた住宅という空間を、旅行者の宿泊空間へと変身させた。これは住宅やホテルという存在の垣根を消失させるものであり、宿泊・観光業界のみならず各地の小売業や文化にも多大なインパクトをもたらした。 不動産テックとは、単にデジタルツールを活用して漸進的な業務改革をめざすものではない。新しいテクノロジーを活用することで、不動産に関連する事業