静かなプロテスト 2022年2月に開始されたウクライナ侵攻以降、ロシアではさまざまなかたちで戦争に反対する声があげられてきた。例えば、『緑の天幕』をはじめ、多数の著作が日本語に翻訳されている人気作家のリュドミラ・ウリツカヤは、開戦直後から独立系メディアに発表された反戦声明に名を連ねている。また、侵攻以前から国外を拠点とするロシア語作家は多く存在するが、そのような作家の一人であり、『手紙』などの代表作を持つミハイル・シーシキンは、チューリヒのロシア語インターネットサイト「すべての人のためのスイス」[★1]で現在のロシアの体制に反対する発言を盛んに行っている。これら著名人の反戦の訴えは、日本のロシア文学研究者たちの尽力により新聞や雑誌でいち早く紹介されてきた。 その一方で、インターネットを覗いてみれば、ロシアのSNS「テレグラム」はもちろん、ロシア国内からはVPNを通じてしかアクセスできないは