![Amazon.co.jp: 「無限」に魅入られた天才数学者たち (〈数理を愉しむ〉シリーズ): アミール・D・アクゼル (著), 青木薫 (翻訳): 本](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7cf89a34fa8c7e530914f9ef43104d2f222cb8b1/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41ul-IuqfhL._SL500_.jpg)
→『ガロアの時代 ガロアの数学〈1〉時代篇』を購入 →『ガロアの時代 ガロアの数学〈2〉数学篇』を購入 百歳の天壽をまっとうした日本を代表する数学者が93歳と96歳の時に上梓した本である。こういう言い方は失礼かもしれないが、よくある回想録の類ではなく、原資料や最新の研究にあたって書かれた本格的な著作である。文章はきびきびしていて無用のくりかえしはない。90代半ばにしてこれだけの文章が書けるとは。かくありたいものだ。 本書はガロアの生涯を描いた「時代篇」と業績を解説した「数学篇」の2巻からなる。 「時代篇」は4章にわかれ、各章の末尾には簡単な年表がついている。 第1章「時代背景 政治史から」は25頁ほどの簡単なものだが、ガロアが在籍したルイ・ル・グラン校やエコール・プレパラトワール、入学を果たせなかったエコール・ポリテクニークについてまとめられているのはありがたい。 エコール・ポリテクニーク
→紀伊國屋書店で購入 本書はラヴレス伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングの伝記である。 彼女はある事情からファーストネームのオーガスタではなく、セカンドネームのエイダと呼ばれた。エイダは生前はバイロン卿の娘として著名だったが、現在では世界最初のプログラマーとして知られている(アメリカ軍が用いているAdaというプログラミング言語は彼女の名にちなむ)。 ロマン派のスーパースターだったバイロン周辺だけあって、何からなにまで極端で登場人物はみな異様に「濃い」。現代の感覚からすると引いてしまう話が多いが、本書に書いてあることは事実として実証されたことばかりである。 エイダは生後一ヶ月にして有名人だった。母アナベラが出産早々バイロン邸を出て別居生活をはじめ、それをマスコミがおもしろおかしく伝えたからである。 当時は男尊女卑の時代だったので夫がどんなに浪費家で放蕩者であっても、妻は耐え忍ぶべきだとされた。
数学嫌いの人たちにとっては思い出したくもない代数や幾何の定理や法則はいったい誰が考え出したのだろうか。俗世間とはまったく関わりを持たない孤高の天才が机に向かい、思索をめぐらしながら編み出したのだろうか。本書は数学の進化の歴史を辿(たど)りつつ描かれた天才数学者たちの伝記である。 本書の第一の特徴は、数学が時代の影響を強く受け、ときに時代に翻弄された学問であることを説明している点だ。たとえば、古代ギリシャでは「神は数」であり、整数の法則は「神聖な性質」として崇(あが)められたが、中世ヨーロッパでは、数学は神秘主義や占星術とも結びついたため神の秩序を乱す危険な営みという扱いを受けた。また、数学を好む皇帝や貴族の支援により恵まれた研究環境を与えられた数学者がいた一方で、フランス革命では数学は贅沢(ぜいたく)な活動とみなされたため数学者が無実の罪でギロチン刑に処せられたこともあったという。 第二の
今年は金環日蝕(にっしょく)が話題になった。この秋は『天地明察』の映画が公開される。実は、江戸時代の天文観測は和算と深い関係にある。「当時の天文暦学者らが計算したのは、地球を中心とする天球上の月や太陽の位置(中略)だった。完全な円軌道でもないし、等速運動でもなかったので、単純な方程式では表現できない」今なら、ニュートンが発見した運動方程式を使ってコンピューターで計算すればよい。だが、江戸時代
あらゆる縁を切った天才 数学にあまり興味がない人でも、「ポアンカレ予想」という名前は耳にしたことがあるだろう。実際、その数学的な内容よりも、100年間も解けなかった問題だとか、解いた数学者が凄(すご)い変人だった、というような話題のほうが独り歩きしている感もある。 ポアンカレ予想は、専門用語をちりばめて表現すれば、「滑らかで単連結な三次元多様体は、球面に微分同相だろうか?」ということになる。もっとくだけた表現では、「球や箱や丸パン、そして穴のない塊の表面は、本質的にはどれも同じだ」となる。ただし、このような表面は二次元だが、ポアンカレ予想は三次元なので、頭の中で具体的な絵を想像することは難しい。 本書には、こういった数学的な説明も載っているが、やはり面白いのはグリゴーリー・ペレルマンという数学者の素顔だろう。髪も爪(つめ)も伸ばし放題という風貌(ふうぼう)も奇異だが、彼はポアンカレ予想の証
2009年11月08日18:00 カテゴリ書評/画評/品評Math 辞退の理由 - #書評_ - 完全なる証明 文藝春秋下山様より献本御礼。 完全なる証明 マーシャ・ガッセン / 青木薫 これで腑に落ちた。 なぜグリゴリー・ペレルマンが、フィールズ賞をはじめとする数多の賞を辞退しつづけたのか。 世捨て人だからではない。 謙虚からでもない。 ましてや反骨だからでもない。 ペレルマンにとって、それがたった一つの冴えたやり方だったからだ。 本書「完全なる証明」は、数学ではなく、ある数学者と彼を取り巻く環境について書かれた一冊。本書を読んでも、残念ながら - 本書の主人公にとっても - ポアンカレ「予想」を主人公がどうやって「定理」にしたのかは理解出来ない。そして(主人公にとってはどうでもいいが)読者にとって有り難いことに、本書を読み解くのに数学の才能は不要である。 目次 序章 世紀の難問を解いた
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