オオカミの殺し合い まだ私が学生だったころの話だが、動物の行動について次のように教わった。 「同種の個体を殺すのは人間だけである。人間以外の動物は、たとえ同種の個体同士で争いになっても、相手を殺すまで闘うことはない。残忍に思えるオオカミも、敵わないと思って相手が服従のポーズを取れば、そこで闘いは終わる。こういう行動は、種を存続させるために進化したものである」 もちろん、これは正しくない。同種の個体同士で殺し合いをする動物はたくさんいる。たとえば、サルの仲間ではハヌマンラングーンやチンパンジーなど、その他の哺乳類ではライオンやイルカなど、鳥の仲間ではカモメやレンカクなど、昆虫ではタガメやミツバチなどで、同種の個体を殺す行動が観察されている。 また、オオカミと言えば、人類学者であるパット・シップマン(1949~)が、アメリカのイエローストーン国立公園で目撃した例が忘れられない(*)。 8頭のオ
![人間以外の動物は同種間では殺し合いをしない、は本当か?(更科 功)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cc8414647122bb5e6ae4b3eb7dcd5451d1daa631/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fe%2F0%2F1200m%2Fimg_e04fb8fdf51568184b820b2292e4c8fd99512.jpg)