ニュース番組を見て憂鬱になる。新聞やインターネットの記事を読んでげんなりする。暗い内容ばかりだからだ。シリア情勢、温暖化、テロに凶悪犯罪、不況、所得格差、貧困、差別、少子化・高齢化、災害。マスメディアは脅威を報道するのが基本だし、これらすべて顕在化している問題であるとはいえ、連日こうしたニュースを見ていると、そんなにメンタルの強くない筆者などはすぐ気が滅入ってしまう。ひどい時代に生まれてしまったものだと思わずにはおれない。 そうしていだかれた悲観論に一石を投じるのが、本書だ。一言で説明すれば、人類がここ2世紀あまりで飛躍的に進歩し、死のリスクが大幅に低下したことをデータとともに示した本である。著者はスウェーデン生まれの作家・歴史家で、グローバリズムと自由貿易の推進を訴え続けている人物だ。本書について彼はこう述べる。 現代において、私たちは自分の生活を改善する自由を与えられ、それにより世界を
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