『量子革命ー―アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突』(マンジット・クマール著、青木薫訳、新潮社)は、量子力学に関心を抱いている者たちを知的興奮の坩堝に放り込む。 「アインシュタインの名前は天才科学者の代名詞となったが、もうひとりの主人公であるニールス・ボーアは、当時も今も、それほどの知名度はない。しかしボーアと同時代を生きた科学者にとって、彼はまぎれもない巨人だった」。 「原子の量子論の中核に偶然と確率が潜んでいることに気づいて、アインシュタインは嫌な気持ちになった。彼はもはや量子の実在性を疑ってはいなかったが、それと引き替えに、因果律を犠牲にしてしまったような気がしたのだ」。1917年のことである。 「(ボーアの)講義の日付が1920年4月27日火曜日と決まると、ついにブランクとアインシュタインに会えるとなって、ボーアの気持ちは高ぶった。アインシュタインは、自分よりも6つ年下のこ
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