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ブックマーク / honz.jp (452)

  • 忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』 - HONZ

    忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』 もうタイトルからして「なんじゃこりゃ」だが、読み終わっても「なんじゃこりゃ」である。でも面白いんだから書評するより仕方ない。書(通称・まいボコ)を一言で説明するならば、明治時代、夏目漱石や森鴎外といった純文学作家の作品よりも人気を博した忘れ去られしエンタメ作品(著者は「明治娯楽物語」と呼ぶ)が多数存在し、それらをツッコミ入れつつざっくばらんに紹介しまくるだ。なぜ現在この作品群の知名度が全くないかというと、当時はまだ文学が未成熟、手探り状態にあり、現代の水準からすればどれもこれも「小説未満」で、時代の流れの中で風化してしまったためだ。要するに今読んでもつまらないのである。 とはいえ、どんなに粗雑でくだらなくても、そこには作

    忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』 - HONZ
  • 『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ

    精巣が体外に出たわけ 「オギャー」と産声をあげて母乳を求めたことなどとんと思い出せないように、わ たしたちは自分が哺乳類であることも日頃すっかり忘れている。でも、紛れもなく 哺乳類の一員で、だからこそ人生は“哺乳類生”でもあるのだ。わたしたちの生命 の大きなサイクルは、そのまま哺乳類のスタイルに深く根ざしている。 それなのに、わたしたちは哺乳類が「どこから来て、どのように今の姿になったの か」、その“進化の鍵”をまだ解き明かしてはいない。書は最新の知見を盛り込 みながら、こうした謎に挑んでいく。 著者はサイエンスライターにして、神経生物学の博士号を持ち、ロンドン大学ユニ バーシティ・カレッジとコロンビア大学で12年間も哺乳類の脳などの研究に携わっ てきた。うってつけの名ガイドだが、私的な体験(子どもの誕生、サッカーのゴー ルキーパー、森の思い出など)もまじえることで、親しみやすく楽しい読

    『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ
  • 『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 - HONZ

    21世紀の戦争は、戦車や大砲による物理的な戦闘よりも、主にソーシャルネットワーク(SNS)を使った情報戦が重要になった。SNSによって劇的に様変わりした新しい戦争の姿を描いたのが書である。 ここでいう情報戦とは、相手の情報を奪い取る戦いではなく、いかに自分たちに有利な印象を信じ込ませることができるかといういわゆるプロパガンダ合戦のことだが、従来は国家権力や大手メディアが一方通行にそうした情報を流していたのに対し、新しい戦争では、市民がSNSを用いて自ら語りかけ、人々が参加するかたちで拡散させる。そうしてできあがった人々のネットワークが戦争に深く関与するようになった。 そこで流されてくる情報を著者は「ナラティブ」と表現する。「私たちはいま、事実よりもナラティブを重視する世界に生きている。人びとが判断基準とするのは議論ではなく感情の大袈裟な表出」とし、「議論以上にナラティブが強い影響力を持ち

    『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 - HONZ
  • 『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない - HONZ

    平成が終わった。元号なんて日でしか通用しない、世界は西暦だ、などと言われてしまえばその通りなのだが、大学入学で上京したのが平成元年だったこともあって、個人的にはやはり平成の終焉は感慨深いものがある。 平成とはどういう時代だったのだろうか。 平成元年、1989年12月29日に日経平均は史上最高値の3万8915円87銭をつけた。ところが翌年1月から株価の下落が始まり、夏には都心の地価も下がり始めた。1991年(平成3年)2月に景気が後退局面に入ると、あとは坂道を転げ落ちるように日経済は転落して行った。その後に長すぎる停滞が待っていたのはご存知の通りだ。 平成とはバブルのてっぺんから始まり、奈落へ転げ落ちて負った複雑骨折の大怪我が癒えることのないまま、そのほとんどを寝たきりで過ごしていたような時代だった。平成が終わり、令和が始まった瞬間の空騒ぎを見ていると、停滞をなんとかしてリセットしたいと

    『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない - HONZ
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
  • 最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 - HONZ

    コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな一冊の登場だ。 「移民」を真っ向から丹念に書く著者の望月優大さんは、1985年生まれ。経歴が華やかで、東大で修士課程を終えた後、経済産業省、グーグル、スマートニュース、を経て独立し、現在は株式会社コモンセンスの代表をつとめる。 最近では「ニッポン複雑紀行」なるウェブマガジンで、その文章をご覧になった方もいるかもしれない。 これは「日の移民文化・移民事情を伝える」ことを目的とした、難民支援協会のウェブマガジンで、望月さんはライター兼編集

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  • 『持たざる経営の虚実』経営文学に支配された、平成30年間の企業経営 - HONZ

    「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」。このダーウィンの名言を、若いビジネスパーソンへのメッセージとして援用する経営者は多い。 感じ方は人それぞれだと思うが、個人的にはサイエンスの理論を曲解し、都合よくビジネスに利用しようとする姿勢に違和感を覚えてしまう。 人間が自らの意志だけによって、自分たちの思う方向へ人体を進化させてきたというなら話は別だ。しかし自然淘汰における突然変異という概念や、適切な時期に適切な場所にいたことによる幸運という要素が、そこからはすっぽりと抜け落ちている。 書の著者は、このような現象を「経営文学」と名付け、痛烈に批判する。経営学とは来は社会科学の領域に属するはずのものだ。しかし、欧米などから輸入された経営論のスローガンが情念的な言葉の衣をまとい、意訳・誤訳されたまま流布するというケー

    『持たざる経営の虚実』経営文学に支配された、平成30年間の企業経営 - HONZ
  • ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』 - HONZ

    仲間内で互いに助け合うこともあれば、コミュニケーションもとっている――ドイツの森林管理のプロが長年見てきた樹木の驚愕の生態がここに! 最新のサイエンスの知見で、樹木の持つ驚くべきコミュニケーション能力や社会性を解き明かす。知らないことだらけの森の世界へ、ようこそ。 ドイツで2015年に出版されて以来ベストセラーとなっている書の著者、ペーター・ヴォールレーベンは、1964年ドイツのボン生まれ。ボンといえば旧西ドイツの首都だったくらいだから、都会生まれ都会育ちだ。「だからこそ」自然に興味を持つようになり、大学で林業を専攻したそうな。 卒業後は、ドイツ西南部の州、ラインラント=プファルツ州の営林署で20年以上公務員として森林を管理した。だが、生態を考えない一律的な植林や害虫駆除剤の散布など、人間の都合や採算だけで行われる林業に疑問を感じ、行政官としての限界を感じた彼は独立する。ドイツ公務員

    ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』 - HONZ
  • 『すごい人のすごい話』をすごい人が聴く - HONZ

    古書を購入するために1億円以上の借金を背負った。 出版社社屋で寝泊りしながら『世界大博物図鑑』を1人で書き上げた。 の購入資金捻出のために、1日に1回しか事せず、10年間同じスーツを着続けた。 愛書家として上記のような伝説を多く持ち、「中学生のころから、読んで感激したの著者に手紙を書いて、勝手に弟子入りを決め込」んでいたというアラマタさんが、「なんてすごい人なんだ」と感嘆した15人に会いに行き、対談した内容をまとめたである。 もともと2008年から2009年の間にみずほ総合研究所の会報誌『Fole』に連載されていたインタビュー企画であるが、そのすごい話は2013年の現在に読んでも新鮮に感じられるものばかり。当にすごい話というのは、そう簡単には古くならないのだ。単行化にあたって大幅に加筆・修正が施されており、東日大震災について言及している部分もある。 400ページ以上にわたって

    『すごい人のすごい話』をすごい人が聴く - HONZ
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2019/02/28
    イーストプレスって、「すごい」がスゴイ好きなんだね。
  • つまらない仕事を減らせ──『NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方』 - HONZ

    『小さなチーム、大きな仕事』の著者(というか会社)による最新作は、たくさん働いたって成果なんか上がらないしやめようぜ、休暇もいっぱいとろうぜ、という一労働者としては至極ありがたい思想を具体的なメソッドに落とし込んだ一冊である。 著者の一人デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソンはRuby最大のWebフレームワークであるRuby on Railsの開発者であり、僕もRubyでWebアプリを書く時には開発でお世話になっている。その尊敬の気持ちもあって、彼らのは読むようにしているのだが、シンプルな原則、思想によって「会社」というものが設計されていて、新刊を読むたびに新たな発見がある。 今回も主張はとてもシンプルだ。たくさん働くのなんて効率が悪い、やめようぜ、というただそれだけの話である。でもそれだけのことが現代社会ではうまくいかない。仕事が積み重なっていることもあるし、価値観の問題のケースもある

    つまらない仕事を減らせ──『NO HARD WORK!: 無駄ゼロで結果を出すぼくらの働き方』 - HONZ
  • 『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる - HONZ

    書は災害復興についてのではない。災害の最中にーー警察や消防士たちが到着する前に、レインコートを着た記者たちがやってくる前に、惨事に対する何らかの見方が押しつけられる前にーー何が起こるのかについて述べたである」 災害・テロ・事件・事故。もしもの時の、とっさの判断が書のテーマである。有事に何をすべきかを並べたマニュアル的な内容ではない。なぜ、人は非常時に誤った判断をしてしまうのか。その背景には、人がそもそも持っている、どのような思考のクセが影響しているのか。そんな根から考えていくスタンスが特徴だ。さまざまな惨事から生き延びた人々へのインタビューに加え、社会学者、心理学者、脳科学者、神経科医、テロ対策専門家、警察官、消防士など幅広く意見を求めて得た知見を、まったく他人事に思えないエピソードの数々を通して伝えてくれる。 非常事態にまず起こりがちなこととして挙げられるのが「否認」である。

    『生き残る判断 生き残れない行動』知識も準備も経験も、危機を察知できてこそ活きる - HONZ
  • アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ

    アメリカ陸軍には「デルタフォース」という対テロ特殊部隊が存在する。アメリカのIS掃討作戦の最前線で戦っているのもこの部隊であり、陸軍の最強特殊部隊だ。 秘匿性が高く、その実態はベールにつつまれていたが、同部隊に所属していた元情報分析官による書によって、その最先端の戦い方が明るみになった。無人航空機、通称ドローンが同部隊の情報収集及び攻撃に多大な貢献をしていたのだ。 アメリカ空軍などがドローンを活用していることは既に広く知られているが、特殊部隊がここまで作戦上ドローンを重宝していたとは驚きの事実だ。書は、アメリカ陸軍特殊部隊のドローン戦略最前線、現代版の戦闘を知る上で一級の資料といえよう。出版前にアメリカ軍の検閲にかかったようだが、実際に実行したドローン作戦については削られることなく出版に至っている。 一般的には敵地爆撃や出撃隊の後方援助などにドローンが使われることが多いが、特殊部隊は攻

    アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 - HONZ
  • 『文系と理系はなぜ分かれたのか』単純だが、悩ましい分類のこれまでとこれから - HONZ

    理系か文系か、この二分法は、日常に浸透し、まるで血液型のように、はじめて会う人同士の話題になることが多い。そして、文系であるか理系であるかでレッテルを貼り、個人を理解しようとする。Wikipediaの「文系と理系」というページで展開されている「文系と理系を巡る観念的な印象」は、その代表例である。 4.1数学のできない「普通の」文系、それ以外の「特殊な」理系 4.2文系は優雅、理系は律儀 4.3文系は言葉で考える 4.4文系は前提の吟味をしない 4.5理系は会話下手 4.5.1理系男子は結婚できない 4.6理系にはオタクが多い 4.7男子は理系、女子は文系 (Wikipediaより引用) 得意科目ならまだしも、性格、コミュニケーション能力、就職や結婚の適性など、過剰に二分化されている。高校時代に明確な理由を持って文理を選択した人もいれば、なんとなく選択した人もいるだろう。しかし、文系であるか

    『文系と理系はなぜ分かれたのか』単純だが、悩ましい分類のこれまでとこれから - HONZ
  • 死とどう向き合うべきか──『現代の死に方: 医療の最前線から』 - HONZ

    特に病気をしているわけではないのだけれども、自分ももう若くはないせいか、死ぬことについて考えることが増えた。はたして、自分は余命宣告されて、それをスッと受け入れられるだろうか。治療方針や、諦めどころなど、難しい決断を迫られて対処できるだろうか。ただ何も出来ずに生きながらえるだけは嫌だと思うが、死を前にしてそれが自分にいえるだろうか、などなど。 死は一つだが死に至るルートは複数あり、自分はまだ死んだ経験はないので、備えようと思っても難しいものがある──と、そんなことを考えているうちに刊行されたのが、シェイマス・オウマハニー『現代の死に方』だ。アイルランドで医者として日々患者らと接し、数多くの死をみてきた著者による死に方についてのエッセイであり、哲学者から有名人、彼が実際に受け持った患者など、様々な「死のケース」を通して、画一的な理想の死を追うのではなく、家族や患者自身の個別具体的な悔恨や満足

    死とどう向き合うべきか──『現代の死に方: 医療の最前線から』 - HONZ
  • 異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ

    タコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソードには事欠かない。 たとえばタコは人間に囚われている時はその状況をよく理解しており、逃げようとするのだが、そのタイミングは必ず人間が見ていない時であるとか。人間を見ると好奇心を持って近づいてくる。海に落ちている貝殻などを道具のように使って身を守る。人間の個体をちゃんと識別して、嫌いなやつには水を吹きかける。瓶の蓋を開けて、中の餌を取り出すことができるなどなど。 タコには5億個ものニューロンがあり(これは犬に近い。人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっている。犬と同じニューロンってことは、犬ぐらい賢いのかなと考えてしまいそうになるが、タコは哺乳類らとは進化の成り立ちが根的に異なるので、単純な比較は難しい。では、いったい彼らの知性はどのように生まれ、成り立っているのか。神経系はコストの高い器官だが、それが結果的に生き残

    異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』 - HONZ
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2018/12/16
    このタ~コとか言っていじめられなくなる日も近い?
  • 『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか - HONZ

    2016年10月、東京・新橋の歓楽街の一角。資産家の女性の白骨遺体が発見された。自宅と隣家のせまい隙間に、うつぶせに倒れていた。これだけでも十分きな臭いが、驚くべきことに彼女の土地は何者かによって転売されていた。 地主になりすまして、不動産をだましとる「地面師」の存在は古くて新しい。戦後の混乱期やバブル期に暗躍し、アベノミクスで沸くここ数年、再びうごめき始めた。書では、冒頭で触れた、新橋の地主怪死事件を含む6つの詐欺事件の真相に迫っている。 55億5000万円。大手住宅メーカー・積水ハウスの五反田の土地取引での被害額だ。今夏に会社が発表、刑事告訴したことで10月以降、詐欺師達が続々逮捕されている。 立地の良い土地に目をつけ、地主になりすます。書類を偽造し、不動産業者や開発業者に土地を売り払い、金を受け取る。積水ハウス事件は典型的な地面師事件だったが、多くの者は思っただろう。不動産のプロの

    『地面師』積水ハウスはなぜ55億円を騙し取られたのか - HONZ
  • 『アナログの逆襲 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』 - HONZ

    デジタルの先にあるアナログへ いま、さまざまな分野でアナログの魅力が再注目され、ヒットしている。たとえば、音楽でもCDの売上は落ち込む一方なのに、アナログ・レコードは世界的に人気が高まっており、売上も大きく伸びている。 こうした現象が興味深いのは、アナログ人気がけっして過去を振り返るノスタルジーではないことだ。今日のアナログ・ブームを牽引しているのは、幼い頃からデジタルに慣れ親しんでいる若い世代である。また、デジタルの最先端にあるGAFAグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの企業も、アナログ的発想を重視しはじめている。 そう、いま台頭している現象は、「デジタルの先にあるアナログ」であり、「ポストデジタル経済」へ向かう大きな潮流なのだ。 書は、第1部「アナログな<モノ>の逆襲」で、レコード、紙、フィルム、ボードゲームの人気を通して、こうしたアナログ・ブームの実態と背景を探る

    『アナログの逆襲 「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる』 - HONZ
  • 『「日本の伝統」という幻想』時代の変わり目を前にして - HONZ

    平成の終わりが近づいている。といっても、元号が変わるだけで、生活にドラスティックな変化が訪れるわけではない。が、それでも、平成の世、もっと言えば日がたどってきた道のりに思いを馳せてしまう人は多いのではないか。受け継がれてきた行事や慣習も一つの節目だ。どんな時代が来ようと大切に守っていかねばならない、でも中にはなんかモヤモヤするものもある――もしかしたら、今こそがそうした「日の伝統」をちょっと離れて考えてみるのに最適な時かもしれない。 書『「日の伝統」という幻想』は、昨年11月末に上梓された『「日の伝統」の正体』に続く第二弾である。『「日の伝統」の正体』は、日にある伝統と呼ばれるものの多くが実は明治時代以降の発明であることを調べ分類した一冊で、発売後反響を呼んだ(詳しくは筆者のレビューと著者インタビューをお読みいただきたい)。伝統という言葉の持つ魔力を読み解かんとしたこの前作を

    『「日本の伝統」という幻想』時代の変わり目を前にして - HONZ
  • 『美酒復権』NEXT5のその先へ - HONZ

    「NEXT5」というグループをご存じだろうか?日酒が好きな人ならきっと一度は耳にしたことがあるだろう。ゆきの美人の小林忠彦。白瀑(山)の山友文。福禄寿(一白水成)の渡邉康衛。新政の佐藤祐輔。春霞との栗林直章。秋田の蔵元5人が2010年に結成した蔵元集団である。共同で醸造酒をつくり、酒造りを研究し、技術と精神を切磋琢磨している醸造家集団だ。 2014年からは各界の著名クリエイターとのコラボも展開し、アーティストの村上隆や建築家の田根剛らとコラボレーションした共同醸造酒を販売してきた。今年は「NEXT5 hyougemono2018」と銘打ち、山田芳裕の漫画『へうげもの』、『へうげもの』スピンオフ「激陶者集団へうげ十作」with friendsの三位一体コラボという形で、酒杯と共同醸造酒のセットを販売した。どの酒杯がついてくるかわからない、大人のガチャといった趣で、私もついつい器欲しさに

    『美酒復権』NEXT5のその先へ - HONZ
  • 『ルポ企業墓 高度経済成長の「戦死者」たち』墓からみた日本人と企業 - HONZ

    長いことを読んでいると、性格が素直じゃなくなる。新しいを手に取っても、「この手のテーマ、前も読んだことあるな、フン!」などとついつい思ってしまうのだ。すれっからしもいいところである。 だがこのには驚かされた。まさかこんな切り口があったとは!『ルポ企業墓 高度経済成長の「戦死者」たち』は、文字通り企業が建立した「企業墓」をテーマにしたノンフィクションだ。 聖地として知られる高野山は、年間200万人もの観光客が押し寄せる一大観光地でもある。ここを訪れた人はみな奥之院を目指す。空海御廟に詣でるためだ。 御廟までの約2キロメートルの参道の両側には、織田信長や豊臣家といった名だたる戦国大名の墓所が林立していることで有名だが(ホント物凄い数ある。さながら戦国オールスターズの趣)、実はパナソニックやクボタなどの企業墓が多数集まるエリアでもある。 金剛峰寺域内や周辺も含めると、高野山にはなんと140

    『ルポ企業墓 高度経済成長の「戦死者」たち』墓からみた日本人と企業 - HONZ