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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (128)

  • ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書

    七人のイヴ ? (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ニール・スティーヴンスン,日暮雅通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るサイバーパンクの傑作として名高い『スノウ・クラッシュ』、ナノテクの発達によって変容した文明社会を描き出す『ダイヤモンド・エイジ』などでその名を世界に轟かせたニール・スティーヴンスンによる格宇宙SFがこの『七人のイヴ』である。 早川書房からのリリース文では『マイクロソフト創業者のビル・ゲイツが「思考を喚起する圧倒的な面白さ」と自身のブログで絶賛。また、任期中のオバマ前大統領が夏に楽しんだ1冊だと公表したことでも話題となった全米ベストセラーです。』とあり、え、それは当にSFなの? と疑問に思ったぐらいだったが、月が突如として7つに分裂して以後の、人類の存亡をかけたサバイバルを描く純然たる傑作(今のとこ

    ビル・ゲイツが絶賛しオバマ前大統領が楽しんだ本格宇宙SF──『七人のイヴ Ⅰ』 - 基本読書
  • ブラックホールに身を投げたらどんな最後を迎えるのか?──『とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ』 - 基本読書

    とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ 作者: コーディー・キャシディー,ポール・ドハティー,梶山あゆみ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/06/07メディア: 単行この商品を含むブログを見る身近な疑問を物理的に追求していくとどうなるのかをゆるいイラストと共に解説した『ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか』というが3年前に話題になったが、書はその死に方に的を絞ったバージョンのようなだ。著者自身は、はじめにで『要するに、スティーヴン・キングとスティーヴン・ホーキングを足して二で割ったような』──書はグロテスクな死と真面目な科学が合わさっただから──といっているが、うーん、それは両者を甘くみすぎな言葉だとは思う。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 45通りの死に方が書では網羅されている。実際に遭遇

    ブラックホールに身を投げたらどんな最後を迎えるのか?──『とんでもない死に方の科学: もし○○したら、あなたはこう死ぬ』 - 基本読書
  • 自然界の凄い機構をパクる『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』 - 基本読書

    生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から 作者: アミーナ・カーン,松浦俊輔出版社/メーカー: 作品社発売日: 2018/05/10メディア: 単行この商品を含むブログを見る生物模倣、バイオミミクリーという用語がある。 これは端的にいえばアリやハチが持っている、生物が進化の果てに築き上げた独自の機能を模倣し、技術として取り込もうという考え方のことである。書では、そうしたバイオミミクリーの事例──具体的には、イカにナマコ、ゴキブリにヤモリ、生態系そのものから着想を得て、迷彩スーツ、火星探査ローパーに装甲ロボット、持続可能都市と、ありとあらゆるものへ活かそうとする各種研究が紹介されていく。 そうした技術は、持続可能性の観点などから世界を一変させる可能性を持っている。 効率は自然の多くの形態や機能を動かす強力な推進力であり、バイオインスピレーションによる技術開発でも高い価値のある長所

    自然界の凄い機構をパクる『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』 - 基本読書
  • もしもヴァンパイアが大英帝国を統治したら──『ドラキュラ紀元一八八八』 - 基本読書

    ドラキュラ紀元一八八八 作者: キム・ニューマン,鍛治靖子出版社/メーカー: 書苑新社発売日: 2018/05/11メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見るキム・ニューマン『ドラキュラ紀元一八八八』は東京創元社の『ドラキュラ紀元』の増補&改訳版。映画シナリオや世界観を補完する短篇が収録され、完全版といえる出来。もともと読んだことがなく値段が4000円近くするなのでおもしろくあってくれ! と祈りながら読んだのだけど、これがもうめちゃくちゃおもしろい! 台詞の一つ一つが痺れるほどにカッコよく、無尽蔵に投入されるフィクション&歴史上のキャラクタが織りなす1888年の改変世界はどこに目をやっても魅力が横溢している。 原典たる『吸血鬼ドラキュラ』では、吸血鬼であるドラキュラをヴァン・ヘルシングが追い詰め殺してしまうわけだが、この『ドラキュラ紀元一八八八』世界では逆に

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  • 世界はぐんぐん良くなっている──『進歩: 人類の未来が明るい10の理由』 - 基本読書

    進歩: 人類の未来が明るい10の理由 作者: ヨハンノルベリ,Johan Norberg,山形浩生出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2018/04/24メディア: 単行この商品を含むブログを見る「10の理由」とか、やけにアッパーな書名が全体的に怪しいものの、訳者が山形浩生さんだったので読んだらこれがちゃんと当たりであった(いちおう弁護しておくと、人類の部分は邦題オリジナルだがそれ以外はおおむね原題通りである)。 内容としては至極単純で、「世界はどんどん前よりも良くなっている」というだけの話ではある。実際、それはその通りだ。『暴力の人類史』など、近年のノンフィクションを読んでいる人間なら「知ってる知ってる。暴力も減って栄養状態もよくなって差別も減って、現代サイコーだよね」と頷くかもしれないが、実は多くの人は世界は悪化しつつあると思っている。たとえば著者によると、イギリス、オーストラリア、

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  • ゲームプレイヤーの人生を綴ったIGNの人気連載の書籍化──『電遊奇譚』 - 基本読書

    電遊奇譚 (単行) 作者: 藤田祥平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2018/04/13メディア: 単行この商品を含むブログを見るネットを日夜徘徊している人はIGN Japanの連載「電遊奇譚」を読んだことがあるかもしれない。たとえば、母が頸を吊って死に、その後残された一家がヨーロッパへと向かい、そこで泊まったホテルのベルボーイとの会話、傷んだ心にもたらされる救済と心温まる手紙のやりとり、ラストへの(ゲーム連載として秀逸な)オチとあらゆる意味で完璧な短篇である【電遊奇譚:其十三】ロンドンのルイージマンション人生を破滅させるほどゲーム(「Wolfenstein:Enemy Territory」)に没頭し、たとえ後には消えていき物理的に後に残るものはなかったとしても、それでもゲーム人生を賭けて没入する理由を語った「【電遊奇譚:其一】 身を滅ぼしてまでゲームに打ち込む理由」など、

    ゲームプレイヤーの人生を綴ったIGNの人気連載の書籍化──『電遊奇譚』 - 基本読書
  • 現代の考古学を古代に書かれたものと組み合わせる──『先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学』 - 基本読書

    先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学 作者: メアリー・セットガスト,山貴光,吉川浩満出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2018/04/08メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る書名からだけではよくわからないだ。『先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学』というのは、普段ならまず手に取らないだが、先日高野秀行さんと清水克行さんの対談『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』のトークイベントに行ったら、そこで司会をしていたHONZ編集長にオススメされた(編集長も別に読んでいたわけではないが)ので、それなら読まないわけにはいかない。 惚れ惚れするようにあやしい で、読んでみたのだが、これが惚れ惚れするようにあやしいだ。何しろ、内容的にはプラトンの著作の中でも主に『ティマイオス』と『クリティアス』を取り上げてい

    現代の考古学を古代に書かれたものと組み合わせる──『先史学者プラトン 紀元前一万年―五千年の神話と考古学』 - 基本読書
  • 脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - 基本読書

    あなたの脳のはなし:神経科学者が解き明かす意識の謎 作者: デイヴィッド・イーグルマン,大田直子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る我々は"現実"をありのまま受け取っているわけではない。 いったん視覚情報や触覚情報といった身体表面から情報を受け取り、それを脳で解釈することによってはじめて"人間用に最適化された、人間用の世界"を構築する。我々はある種のフィクションの世界を生きているわけだ。 と、大層な語りだしではじめたけれども、書はそうした現実の解釈機関である脳についての一冊だ。著者は日でも『あなたの知らない脳──意識は傍観者である』で知られる神経科学者で、巧みな文章で脳科学の世界を紹介する伝達者である。書は著者が監修・出演したBBCのテレビ番組の書籍版であり、「人はどうやって決断を下すのか」、「人はどう

    脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』 - 基本読書
  • 「私」とはいったい何なのか──『私はすでに死んでいるーーゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 - 基本読書

    私はすでに死んでいる――ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳アニル・アナンサスワーミー 紀伊國屋書店 2018-02-15 Amazonで探す何歳になっても自分探しの旅といって国外に行く例はよくあるが、その場合の「自分」とは、「何がやりたいのか」とか「まだみぬ自分の一側面」とか、そういったものであることがほとんどであろう。書では、それよりもっと質的なもの、「私」という感覚がどこからやってくるのか、脳のどこが損傷した時に、「私はすでに死んでいる」という矛盾した知覚に行き着いてしまうのか──を問いかけてゆく。 「私はすでに死んでいる」なんて言い出すのは北斗の拳世界の人ぐらいだろうと思いきや、コタール症候群と呼ばれる症状を呈した患者らは「私の脳は死んでいるんです。精神は生きてますが、脳はもう生きてないんですよ」と強烈に訴えかけ、自分が死んでいるとする妄想を披露する。果たしてどんな脳機能障害が、そのよ

    「私」とはいったい何なのか──『私はすでに死んでいるーーゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 - 基本読書
  • 人間とロボットの相互作用における責任の条件──『ロボット法』 - 基本読書

    ロボット法 作者: ウゴパガロ,Ugo Pagallo,新保史生,松尾剛行,工藤郁子,赤坂亮太出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2018/01/30メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る最近『ロボット法』関連のが出はじめ、刊行予定にも並び始めたのだけれども、書はその中でも、ロボット技術の現在と、今後起こりえる技術発展を見据えて実定法上の問題を27に分類し、一つ一つそこにどのような問題があるのか、法制度は今のまま、既存の法を延長することで新たな状況に対応することができるのか。不可能なのであればそれはなぜなのか、といったことを丹念に解き明かしていく一冊である。 書の目的は法的に1つの正しい答えというものが手の届くところにあるのか、法制度が代替的解決を受け入れ可能か、または政治的決定が行われる必要があるかを決定することである。典型的な実例は軍事ロボット分野における自律

    人間とロボットの相互作用における責任の条件──『ロボット法』 - 基本読書
  • どんな風に育つと読書好きの子どもになるのだろうか。 - 基本読書

    新版 指輪物語〈1〉/旅の仲間〈上〉 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二,田中明子出版社/メーカー: 評論社発売日: 1992/05/01メディア: 単行 クリック: 96回この商品を含むブログ (15件) を見る僕は割合を読むのが好きで、暇さえあればだらだらとを読んでしまう。 ただ、それはアニメを観たり映画を観たりゲームをやったりといった他のことと比べて”好き”なのかといえばそこについてはよくわからない。たとえば僕にとってはアニメを観たり映画を観たりゲームを”しはじめる”のに行動力を10ポイント消費するとすれば、を手にとって読み始めるには3ポイントぐらいしか消費しない、つまり好きというよりかは”手をつけやすい”だけなのではないかなと思ったりする。 で、いつを手をつけやすくなったのかといえば、記憶にある限りかなり古い時からそうやってばかり読ん

    どんな風に育つと読書好きの子どもになるのだろうか。 - 基本読書
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2018/02/18
    "「少なくとも小学生時代においてはインターネットを遮断し、スマホを持たせず、外出禁止令を出し、これみよがしに『竜馬がゆく』かそれに類する歴史物語を置いておく」"
  • ポストゲノム世界のための声明文──『遺伝子‐親密なる人類史‐』 - 基本読書

    遺伝子‐親密なる人類史‐ 上 作者: シッダールタムカジー,Siddhartha Mukherjee,仲野徹,田中文出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/06メディア: 単行この商品を含むブログを見る遺伝子‐親密なる人類史‐ 下 作者: シッダールタムカジー,Siddhartha Mukherjee,仲野徹,田中文出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/06メディア: 単行この商品を含むブログを見る自身で臨床も行うがん研究者のシッダールタ・ムカジーによる『がん‐4000年の歴史‐』とかいうド名著がこの世にはあるわけだけれども、書『遺伝子‐親密なる人類史‐』はそのムカジーによる新刊である。がんを深く掘っていけばそこには遺伝子(『「遺伝子」とは、遺伝の基礎単位であり、あらゆる生物情報の基単位だ。』)がいるわけで、まさに正統後継作というか、よりパワーアップし

    ポストゲノム世界のための声明文──『遺伝子‐親密なる人類史‐』 - 基本読書
  • 共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書

    反共感論―社会はいかに判断を誤るか 作者: ポール・ブルーム,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/02/02メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る他者にたいして共感するのはいいことだと思われている。ひどいめにあった人をみて、強く感じ入り、そのつらさを共有する人は、一般的には善良な人だ。より多くの人がもっと他者に共感するようになれば、他者に暴力をふるったりすることもなくなるのではないかという考えもある。”もちろん、共感には利点があるけれども”、しかし全体を通してみると害も大きい。単純化すれば、それが書の主張となる。 私自身も、かつてはそう考えていた。しかし今は違う。もちろん共感には利点がある。美術、小説、スポーツを鑑賞する際には、共感は大いなる悦楽の源泉になる。親密な人間関係においても重要な役割を果たし得る。また、ときには善き行いをするよう私たちを導くこと

    共感しない方がよりよい結果を得ることができる──『反共感論―社会はいかに判断を誤るか』 - 基本読書
  • 『火星の人』のアンディ・ウィアー最新作──『アルテミス』 - 基本読書

    アルテミス(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者: アンディ・ウィアー,小野田和子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見るアルテミス(下) (ハヤカワ文庫SF) 作者: アンディ・ウィアー,小野田和子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見る火星でひとり生き残った男の決死のサヴァイブを描く超ド傑作ハードSF『火星の人』のアンディ・ウィアーが月を舞台に書いた最新作がこの『アルテミス』だ。 『火星の人』はめちゃくちゃおもしろかったとはいえ、商業としてはアンディ・ウィアーの第一作で、一発だけの特大の花火だった可能性は捨てきれない。なので随分時間が経ってから刊行されたこの第二作、もちろんめちゃくちゃ楽しみではあったものの、ひょっとしたらひょっとして大駄作だったりするのでは──という不安

    『火星の人』のアンディ・ウィアー最新作──『アルテミス』 - 基本読書
  • 重力波ノンフィクションで今一冊選ぶならこれ!──『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』 - 基本読書

    時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け 作者: Schilling Govert,斉藤隆央出版社/メーカー: 化学同人発売日: 2018/01/10メディア: 単行この商品を含むブログを見る2015年9月にはじめて重力波が観測されて以後、二度三度四度と調子よく観測され、格的に重力波天文学がはじまった感がある。現状、人間ドラマにフォーカスしたものからその科学的な解説を取り扱ったものまで重力波についてのも何冊も出ているけれども、書『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』はそんな中にあって最新の成果、これまでの歴史、またこれから先の見通しまで含めた包括的な一冊だ。 重力波とは まず最初に重力波について簡単に説明しておこう。 ふたつのブラックホールが両者の重心の周りを軌道運動する連星系になると、最終的には螺旋を描いてぶつかって一体化する。太陽の20倍以上のドチャクソな質量を持つ恒星が潰れてブ

    重力波ノンフィクションで今一冊選ぶならこれ!──『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』 - 基本読書
  • もし、無神論者が牧師になったら──『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』 - 基本読書

    ギデオン・マック牧師の数奇な生涯 (海外文学セレクション) 作者: ジェームズ・ロバートソン,田内志文出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2018/01/12メディア: 単行この商品を含むブログを見るひとりの”信仰心を持たない”牧師の人生を描く、地味な話ながらも読んだらついつい彼の人生のあり方、葛藤に惹き寄せられ、この数奇な生涯に自分なりの解釈を持ち出さずにはいられない──そんな奇妙な味を持った長篇小説である。以下詳細。 奇妙な物語の導入 スコットランドの出版社に、ある奇妙な体験と行動を起こした後に失踪した、ひとりの牧師の手記が持ち込まれる。そこには信仰を持たぬ男がなぜ牧師を目指したのか、人生で誰の身にも起こりえる、不貞や不義理、身近な人々との交流、崖から落ちて死にかけた彼を救うことになる”悪魔”との出会い──などが描きこまれていた。 その後失踪したギデオン・マック氏が山中で死んでい

    もし、無神論者が牧師になったら──『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』 - 基本読書
  • お猫様にもっと奉仕するために──『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - 基本読書

    はこうして地球を征服した: 人の脳からインターネット、生態系まで 作者: アビゲイル・タッカー,西田美緒子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2017/12/27メディア: 単行この商品を含むブログを見る先日のペットフード協会の発表によると、全国犬飼育実態調査で、調査開始以来、はじめてネコの推定飼育数が犬の数を上回ったという。人類の相棒は依然として犬かもしれないが、ペットの王は今やネコに移り変わりつつあるといえるのではないだろうか。飼いやすいのもあるが、ネットをみればネコの画像や動画はいつだって大流行で、あっという間に万を超える閲覧、再生数を叩き出し人間の心を鷲掴みにする。 いったいネコの何が人間をそこまで惹きつけるのだろうか。犬は狩りもすれば防犯にも役にたち、飼い主が苦しんでいれば寄り添って慰めてくれる。お座りだろうがお手だろうがちょちょいのちょい。一方、ネコはどうだ。お手

    お猫様にもっと奉仕するために──『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - 基本読書
  • 言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形(オートマトン)の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 - 基本読書

    自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 作者: 川添愛出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2017/12/18メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書は、同著者による数学的原理に裏打ちされた傑作ファンタジィ『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』、その続篇『精霊の箱: チューリングマシンをめぐる冒険』とはまた違った物語──副題にもある通り、命令を何でもこなしてくれるスゴイ人工知能をつくる上で避けては通れない、コミュニケーション時において、人工知能に人間の持つ意図と文脈を理解させる困難さについての一冊である。 ワガママで勉強嫌いな王子と、彼の住まうクリオ城へと危機が迫り、「人間の命令を忠実に実行する」自動人形に囲まれた、王子の孤独な戦いがはじまる──。といったファンタジィを純粋に楽しみながら読み進めるうちに、人と機械のコ

    言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形(オートマトン)の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 - 基本読書
  • 権利闘争、開発秘話、任天堂、伝説のゲームの裏側──『テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム』 - 基本読書

    テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム 作者: ダン・アッカーマン,小林啓倫出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2017/11/01メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る今年はゲームとともに歩んだ人生録である『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』やセガと任天堂の覇権戦争の裏側を描いた『セガvs.任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』などゲームの体験記であったりゲーム業界秘話的ながめっぽうたくさん出たように思うが、その流れに連なるのが書『テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム』、いうまでもなくテトリス戦記である。 僕もゲームボーイでやったり、ガラケーでったり、スマホでやったりと、様々な媒体でテトリスをやってきた。はたからみているとそんなにおもしろそうに見えないのだけど、やってみると意味がわからんぐらいハマってしまう。テトリスはそんな

    権利闘争、開発秘話、任天堂、伝説のゲームの裏側──『テトリス・エフェクト―世界を惑わせたゲーム』 - 基本読書
    takahiro_kihara
    takahiro_kihara 2017/12/18
    とりあえず予約した。
  • 勝てないゲームなんてほとんどない──『完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する』 - 基本読書

    完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する 作者: アダムクチャルスキー,Adam Kucharski,柴田裕之出版社/メーカー: 草思社発売日: 2017/11/20メディア: 単行この商品を含むブログを見るもし何らかの必勝法が存在し、競馬を当て当たりくじだけを買い続けルーレットやポーカーで勝ち続けることができるのならば、いくらだって金を儲けられるぜガハハ──と多くの人が一度は考えたことがあるのではないだろうか。少なくとも僕はある。とはいえ所詮そんなものは夢物語だ、ギャンブルに必勝法なんてものがあるのだとしたら、そもそもギャンブルそのものがこの世から消えてしまうだろう。 だが、実際にこの世のほとんどのギャンブル──ルーレットだろうが、競馬だろうが、宝くじだろうが、ポーカーだろうが──には、必勝とまではいかないものの確実に利益を上げる方法が存在し、科学によって征服されつつある。書は、

    勝てないゲームなんてほとんどない──『完全無欠の賭け: 科学がギャンブルを征服する』 - 基本読書