「性感染症」というテーマは、日常生活の中ではなかなか話題にしにくいものかもしれません。しかし、性感染症の知識は、私たちがきちんと身につけておかなければならないものです。 さまざまな性感染症について、性感染症学会の代議員としてわが国における性感染症予防・治療を牽引し、ご自身の診療所でも長きに渡り性感染症の患者さんと向き合われてきた尾上泰彦先生に伺います。今回は「梅毒」についてのお話です。 梅毒とは 梅毒とは「トレポネーマ・パリダム」という細長いらせん形の細菌によって全身に症状が出る性感染症です。 梅毒の名は、第2期に見られる赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ていることから楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれたことが由来です。その後、楊の字が取れ、次第に梅瘡→黴毒→梅毒へと呼ばれるように変わっていったそうです。 また、梅毒はコロンブス一行が1492年に新大陸の発見と共に原住民の風土病だったものがヨ