新型コロナウイルスに感染し生還したイギリスのボリス・ジョンソン首相が、自己隔離中にビデオメッセージで「社会というものがまさに存在する(there really is such a thing as society)」と発言したことが関心を引きました。 国際的にも注目 この発言が国際的にも注目されたのは、大きな背景があるからです。 英紙「ガーディアン」(3月29日付)は、ジョンソン首相のメッセージを報じた中で「首相は、彼の保守派の先祖であるマーガレット・サッチャーによる1987年の純潔個人主義への支持―『社会なんてものは存在しない(there is no such thing as society)』という雑誌での発言を否定した」としました。サッチャー元首相の言葉とは、「社会なんてものはない。あるのは個々の男たちと女たち、家族である」というもの。戦後イギリスの福祉国家体制を否定し、徹底した個