南米ペルーの南海岸にある世界遺産「ナスカの地上絵」は、「世界8番目の不思議」といわれる。荒涼とした石と砂の台地に刻まれた無数の直線、幾何学文様、動植物の絵。誰が、何のために、どのようにして描いたのか。この謎の解明に挑んでいる坂井正人・山形大教授(文化人類学・アンデス考古学)は最近、現代のナスカでも地上絵が描かれていることを知った。 ナスカ台地は東西約20キロ、南北約15キロに広がる。1920年代から考古学調査が行われ、当初は直線や三角形、渦巻きなどの幾何学文様、その後、ハチドリ、オウム、コンドル、トンボ、サル、クモ、クジラ、花、樹木、海藻などの野生動植物の絵が次々と確認された。総数は1000点以上。 坂井さんは94年からナスカ地上絵を研究してきた。分布に何か規則性がないかと、2004年からは山形大の研究チームで人工衛星写真を精査して、全長65メートルの生物らしい図像を含め、100点以上の地
◇「役に立つこと」を念頭に 科学技術と社会の関係研究−−小林傳司教授(57) 科学技術と社会の関係を研究する「科学技術社会論(STS)」という学問領域がある。小林傳司(ただし)教授(57)は01年にSTS学会を立ち上げ、日本ではなじみの薄いこの領域の研究を進めてきた。昨年3月11日の東日本大震災、その後の東京電力福島第1原発事故以降、科学と社会を巡る問題は急速に先鋭化した。小林さんは新しいエネルギー政策を巡り政府の調査や意見聴取会の結果などを検証する「国民的議論に関する検証会合」のメンバーを務めるなど、震災以降も行政と関わりながら発言を続けてきた。 震災以降、低線量被ばく問題など科学は不可欠だが、科学だけでは対処を決められない問題は山積する。「STSの蓄積は必ず生きる」と話すが、現状は「反省ばかり」だ。なぜか。「例えば原発問題でも安全/危険で色分けされ、固有のリスクがあることを前提に、それ
この計画についてゲノム科学の第一人者、中村祐輔シカゴ大教授は、人は元々少しずつ塩基配列が異なるのに加え、解析装置がエラー(配列の読み間違い)を起こすため、塩基配列の変異があっても病気につながるかどうかや被ばくの影響と断定することは不可能として「荒唐無稽(むけい)な計画」と批判。ゲノム解析が専門の宮野悟・東京大医科学研究所教授は「放射能の影響なのか分からない解析結果が勝手に原発事故と結びつけられ、福島県民の心を傷つけ、差別や偏見を生じかねない」と懸念を示した。 環境省は「計画を具体化する際には、専門家の意見を聴く機会を設けたい」と説明している。【比嘉洋、河内敏康】
厚生労働省は30日、10年「社会保障を支える世代に関する意識等調査」結果を公表した。30〜39歳の男性の非正規労働者の未婚の割合は75.6%に達し、04年の前回(45.5%)より30ポイントも増加した。非正規労働者の経済的な不安定と、未婚化の進行が強く結びついている現状が明らかになった。 男性の未婚割合は30〜39歳では正規30.7%(前回25.4%)に対して非正規75.6%(同45.5%)。40〜49歳でも正規15.1%(同14.1%)、非正規45.7%(同25.3%)と正規・非正規の差が前回より大幅に拡大した。 一方、女性は正規の方が未婚割合が高く、30〜39歳で正規46.5%(同44.8%)、非正規22.4%(同13.0%)、40〜49歳は正規22.3%(同13.5%)、非正規6.3%(同7.1%)など。こちらは女性が働きながら結婚・子育てをする環境がなお十分ではない状況が反映してい
◇変えたいのは有権者心理 反貧困運動の活動家で元内閣府参与の湯浅誠さん(43)が、主な活動拠点を東京から大阪に移し、市民活動の仕掛け人として活躍している。21日発売の著書「ヒーローを待っていても世界は変わらない」(朝日新聞出版)で、強いリーダーシップを発揮する政治家の人気など「大阪で顕在化していることは、もはや日本全体の傾向」だと分析し、大阪発で「民主主義を活性化させたい」と、初めて東京以外で活動する理由を明かしている。【鈴木英生】 湯浅さんは、東京都出身。東京大大学院法学政治学研究科在学中から、ホームレス支援などにかかわってきた。08年末〜09年年頭の年越し派遣村村長として知られた。政権交代後に務めた内閣府参与を今年3月に辞め、動向が注目されていた。 同書は、近年、有権者が自ら政治を考える余裕を失い既得権益層を敵と名指しして成敗する「ヒーロー」型政治家が人気を集めているとする。代表格が小
吉田昌郎・福島第1原発前所長のビデオでの発言全文は次の通り。 −−第1原発の現場の声を伝えてほしい。 ◆昨年の大震災、それから私たちの発電所の事故で福島県の地元の方々に本当にご迷惑をおかけしている。この場で深くおわび申し上げる。まだしばらくこういう状況が続くが、我々も全力を挙げて復旧しており、ご理解をお願いする。本来ならこの講演会に自分で出てきたいと思っていたが、昨年末から病気でずっと入院していてまだ体力が回復していない。そういう中でこういうビデオレターということで失礼する。政府などの事故調査委員会が開催されている中で、なかなか一般のマスコミの方に我々の生の声を届けるわけにはいかないと思っていた。事故調査委員会が一段落するまでは変な形でお話しをすることはルール違反になると私は思っていた。そういう中で(今回)話を聞いていただけるということは大変ありがたいと思っている。 −−発電所からの全面撤
11年度6万件に迫っていたことが分かった児童相談所(児相)への虐待相談件数。増加は厚生労働省が90年度に調査を始めて以降21年連続で、一時保護施設はパンク状態、人員不足も慢性化している。児童福祉司の中には100件以上の対応児童を抱え、過労とストレスの極限状態で働き続ける人も。虐待対応の増加は現場に重くのしかかっている。 全国206の児相のうち128カ所にある一時保護所。厚生労働省によると、児相のある69自治体の45%が10年、定員を超えて児童を受け入れていた。 定員いっぱいの40人前後を受け入れている九州地方の児相はピーク時の2年前には52人を保護していた。「日中は小学生から高校生まで、非行も不登校の子供も同じ大部屋。虐待を受け感情を抑えきれない子供も多いので、ストレスもリスクも増える」。入所している男子中学生に胸倉をつかまれ「はよ出さんかい」とすごまれた経験もある担当課長はこう話す。
東京電力福島第1原発事故後、福島県浪江町などで住民の内部被ばくを検査していた弘前大の調査班に、県が検査中止を求めていたことが分かった。県の担当者は事実確認できないとしつつ「当時、各方面から調査が入り『不安をあおる』との苦情もあった。各研究機関に『(調査は)慎重に』と要請しており、弘前大もその一つだと思う」と説明。調査班は「きちんと検査していれば事故の影響を正しく評価でき、住民も安心できたはずだ」と当時の県の対応を疑問視している。 弘前大被ばく医療総合研究所の床次眞司(とこなみ・しんじ)教授らは昨年4月12〜16日、放射線量が高く、後に計画的避難区域に指定された浪江町津島地区に残っていた17人と、南相馬市から福島市に避難していた45人の計62人について、住民や自治体の了解を得ながら甲状腺内の放射性ヨウ素131を測定した。このうち3人は2度測定。検査の信頼性を高めるためには3桁の被験者が必要と
50年以上、約1400世代にわたり暗闇で育てたショウジョウバエは、暗闇の環境下での繁殖力が高まっていることを京都大理学研究科の布施直之研究員(遺伝学)らが突き止めた。生物が環境に適応していくメカニズム解明につながる。14日付の米国の科学誌プロスワン電子版に掲載された。 京都大は1954年から、光を遮断した容器でショウジョウバエを飼育し続けている。ハエは約2週間で世代交代するため、人間に当てはめると旧石器時代の約2万8000年前から暗闇で生きてきた計算になる。「暗黒バエ」は普通のハエと外見は変わらないが、光に敏感になったことなどがこれまでの研究で分かっている。 布施研究員らは、照明を使い、「24時間とも昼」「12時間ごとに昼夜」「24時間とも夜」の3通りの条件で、暗黒バエと野生のハエそれぞれ約100匹ずつの繁殖率を調査した。野生バエは1匹のメスが3日間に産む卵の数はどの条件でも約40個で差は
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く