気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 忘れもしない3月11日の午後。筆者はこの記事の取材のため、JRの特急「あずさ」で山梨県の甲府に向かっていた。都内から山梨県に入った矢先、駅もない山間部で、列車が緊急停止した。東北地方で大きな地震が起こったと車内放送が告げる。揺れはほとんど感じなかったので、「東北なら震源は遠い。じきに動き出すだろう」と高を括っていた。だが、それが長い1日の始まりだった。 直近の無人駅まで移動した列車は待てども暮らせどもなかなか動き出さない。菓子パンとお茶が配られた。日付が変わる直前の真夜中、ようやく牛の歩みほどの超スローペースで進みはじめた。その日の午後14時23分に甲府に着く予定だったものの、実際の到着は翌朝の7時半だった。合計17時間も閉じ込められた計算だ