●バブル崩壊後、「成果主義」や「能力主義」による人事制度や評価制度が多くの企業で導入された。一時は人件費削減や、社員のモチベーションを高められるのではないかという期待で着目されたが、景気が一段落ついた昨今、「成果主義は失敗だった」「年功制に戻した」という企業の経営者や人事担当者も増えてきている。 ●今回のインタビューは、ズバリ「成果主義は失策だ」という主張を持ち、反対論を展開している東京大学 大学院経済研究科・経済学部教授の高橋伸夫氏。『虚妄の成果主義』で成果主義の成否に関する論議を巻き起こし、最新刊の『〈育てる経営〉の戦略』では、日本の経営者は今こそ日本型年功制に立ち戻ることによって、組織や人材を育てながら充実させていくことが必要だと説く。 ●バブルが崩壊し、思考停止に陥った企業経営者はわらをもつかむ思いで、リストラと成果主義導入に走ったに違いない。しかし、それで企業は短期的に生き延びる