今年の5月14日、女優のアンジェリーナ・ジョリーが、乳がん予防のために乳房を2つとも切除したことをニューヨークタイムズに告白した。なぜ、まだ健康なうちから、切除という決断をするに至ったのか。 私の母親はほぼ10年間、がんと闘い、56歳で亡くなりました。……私にも“変異した”遺伝子、BCRA1があり、それは乳がんや卵巣がんにかかる可能性を極めて高くします。 手術は、遺伝子検査の結果に基づく決定であった。そして、この乳がん遺伝子「BRCA1」は、米国のベンチャー企業ミリアド社が特許による独占権を主張している遺伝子である。 本書は、いよいよ激化する遺伝子検査ビジネスについて、特許の視点から書かれたものだ。著者は2001年のNHKスペシャル「人体特許」のプロデューサーであり、本書は、その後の2013年までの動向を俯瞰している。内容は特許のみにとどまらず、大きな社会的影響力を持つに至った遺伝子ビジネ