賛否まっぷたつの怪書。 批判する人の気は"知れる"が、楽しんで読めた。ただし、これを最高傑作と持ち上げるほど筒井作品を知らないので、なんともいえん。むしろ「文学部唯野教授」の方が面白いんちゃう?と、つぶやきたくなる。500超ページをひとことでまとめると、「巨大な寓話」。自意識過剰な文房具キャラの非日常的日常、イタチに置き換えた人類史の早回し、黙示録的戦争から神話の三部構成となっている。 まずコンパスが登場する。彼は気がくるっていた。 文房具はどこかしら精神に異常をきたしており、現代社会の――というか自分自身をそこに見出しては、黒い笑いに襲われる。 著者・筒井康隆は、寓意を隠さない。イタチたちの歴史は「人間」の歴史であり、文房具たちは「人間」のメタファーであることは、折々の自己言及で「人間」という表現を持ち出しているから。さらに、イタチの歴史を嘲笑(わら)うことはニンゲンを虚仮にすることだか
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