カリカリカリ…一心不乱に手紙をしたためる音が響く。ここは東京・永田町にあるマンションの一室。熟練した「遺書職人」たちが、自殺者むけ遺書を制作している工房だ。参議院選挙公示を目前に控え、遺書の出荷準備はいまが大詰めだ。 政局の季節に引き合いが多いという遺書。今年はシーズン前にも大量の注文があり、忙しさはひときわだという。それでも職人たちは手を抜かず、匠のワザで一通一通書き上げる。 「自殺者本人にもわからない動機・悩みを精緻に書き上げるのはたいへんです。残された遺族・国民を納得させなければいけませんからね」 と、ベテラン職人のひとりは語る。最近は「日本国万歳」でシメれば、だいたいうまくいくとのこと。 取材に伺ったときは、ちょうど参院選に向け見込まれる自殺者増で、工房はおおわらわだった。 「発言を撤回するだけじゃ足らなかったんでしょうね。本人のほか、父母・地元後援会長も自殺されるそうなんですよ。