エコノミストの常套句は「個人の活動の自由度が高まり、競争が激化すれば経済の活力は上がる」である。 最近経済学を専攻しようとする大学生は減少傾向にあるらしいが、むべなるかなである。第一に、このテーゼにはあまりに飛躍がありすぎる。エコノミストはこれを普遍的なテーゼとして語りたがるが、「自由化=景気の向上」というロジックがうまく当てはまるのは、言うまでもなく、あくまで具体的な状況に限られる。経済の専門家の多くがこれを「飛躍」だと思っていないとしたら、そもそも経済学理論に重大な欠陥があるのではないかと思ってしまう。竹中大臣を批判するような人も、このテーゼ自体が間違いだとは言っていないように思われるが、私はこの出発点からして間違えていると考えている。少なくとも「自由化=景気の向上」のロジックがうまく機能する具体的な状況を説明しなければ、このテーゼは単なる宗教であって経済理論ではない。 第二に、このテ