ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (48)

  •  「ことばと思考」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ことばと思考 (岩波新書) 作者: 今井むつみ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/10/21メディア: 新書購入: 22人 クリック: 116回この商品を含むブログ (56件) を見る 書は言語がヒトの思考や認知にどういう影響を与えているかについてのである.ある意味それはウォーフ=サピア仮説の是非というテーマになるが,思考は言語によっているかどうかという二者択一ではなく,どの程度,どの様に言語は思考に影響を与えるのかという観点から書かれたになっている.また書はその影響について特に学習や発達の観点から捉えており,進化的な意味での考察には焦点がおかれていない. まず第1章で,言語が様々に連続したものをカテゴリー化しており,それが言語ごとに異なっている実例を紹介している.ここは楽しい言語のカテゴリー切り分けの多様性の話が続く.色の切り分け*1,容器を名詞でどう切り分けるか(瓶

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    tokyocat 2010/12/27
  •  「進化思考の世界」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化思考の世界 ヒトは森羅万象をどう体系化するか (NHKブックス) 作者: 三中信宏出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2010/09/25メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 16人 クリック: 154回この商品を含むブログ (53件) を見る 三中信宏の「系統樹思考の世界」「分類思考の世界」に続く「思考世界」である.*1 進化にはパターンとプロセスがある.前2部作はそのパターンをどう理解するか,受け止めるかに関するだった.このはプロセスにも踏み込む「進化思考」にかかるものだと名打たれているが,しかし「自然淘汰」や「浮動」の議論は全くない.どこまでもパターンにこだわりつつ,パターンを捉えるプロセス側の議論にも染みだしていますといった内容になっている. 書は序章のあとダーウィンとヘッケルが取り上げられる.しかし話はダーウィンの自然淘汰理論には行かずに,その背景にある19世

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    tokyocat 2010/11/03
    《和製スティーブン・ジェイ・グールド》
  •  VCASI公開研究会「言語の起源と進化について」 その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    (承前) 入來篤史「霊長類の知性進化の神経生物学」 道具を手や目の延長として知覚するという現象を通じて,それが脳神経的にどう観測されるか,そしてそれから何が言えるかという内容だった. 私はこの分野は詳しくないので一部の議論は理解しかねたが,脳のニューロンネットワークの伸展,遺伝子発現,fMRIなどで様々な計測を行うと,道具(熊手やカメラ)を使ったトレーニングに際してサルの脳で生じる構造変化がきちんと観測できるということのようだ. そしてそれはどのような主体がどのような客体に対して何をしたかという問題に整理できる.これは文法的なSVOと考えることができる.(またenact, icon, symbolという3段階モデルも提示されていたが,ここはよく理解できなかった) 特に興味深いのは頭頂部にあるミラーニューロンの発火パターンで,様々な文法構造に対して様々なパターンが観察できる.(余談として入來

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    tokyocat 2010/10/03
  •  VCASI公開研究会「言語の起源と進化について」 その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    10月1日にVCASI主催により「言語の起源と進化について」という公開研究会が開催された.VCASI(ヴィカシ)とは、Virtual Center for Advanced Studies in Institution[制度にかかわる仮想高等研究所=仮想制度研究所]の呼称だそうで,主に社会を秩序立てている制度(社会のゲームのルール)の研究を行っているそうだ. 社会や制度と言語は密接な関係にあるという問題意識から今回の研究会が開かれたということで,講演者には長谷川眞理子先生の名も上がっている.場所は虎ノ門の特許庁前の日財団ビル.ということで何とか都合をつけて参加してきた. 当日は快晴で気持ちのいい秋の日.研究会は2時から開催ということで,昼後近くの日比谷公園にもよってみた.ちょうど“みどりのiプラザ”では「東京の公園が担う生物多様性」の展示がなされていて,和みのひとときだった. 2時から

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    tokyocat 2010/10/03
  •  「The Rational Optimist 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Rational Optimist: How Prosperity Evolves 作者: Matt Ridley出版社/メーカー: Harper発売日: 2010/05/18メディア: ハードカバー クリック: 39回この商品を含むブログ (4件) を見る 書は進化生物学まわりで活躍するサイエンスライター,マット・リドレーの最新刊である.*1 これまでのとは少し傾向が異なり,ここではヒトが成功してきた理由を考え,それが今後も続いていくだろうということが主題になっている. リドレーの主張は大きくまとめると以下の2つになる. ヒトの成功の理由は,もの(特に非耐久消費財とサービス)*2 とアイデアの交換により,分業とが生じ,それが効率化と技術進展をよび,経済成長と豊かさにつながったことにある.そしてこのプロセスは現在情報技術の進展により加速しており,近い将来このような利点が失われる

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    tokyocat 2010/09/25
    進化論が適応できる領域というのはどこまで広いのかと改めておもう。というか、我々は昔から、進化論の原理を使っているなんて思わずに、人間や社会や歴史について考察しているということか。
  •  「一万年の進化爆発」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    一万年の進化爆発 作者: グレゴリー・コクラン,ヘンリー・ハーペンディング,古川奈々子出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2010/05/27メディア: 単行購入: 6人 クリック: 113回この商品を含むブログ (21件) を見る 書は出アフリカ以降の人類進化を扱ったである.著者のグレゴリー・コクランは物理学者でかつ人類学者,ヘンリー・ハーペンディングは集団遺伝学者でかつ人類学者と紹介されている.コクランは胃潰瘍や子宮頸癌の病原体原因説で有名な学者だ.また二人の共著でアシュケナージ系ユダヤ人の高IQが進化的な適応現象だという論文を書いていることでも知られている. 書の中心的な主張は,ヒト集団においては出アフリカ以降,過去よりも速い速度で進化が生じているというものだ.これはハプロタイプの進化速度というデータから見ておよそ100倍だと主張されている.そしてそれは大きな環境の変化に

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    tokyocat 2010/07/17
    「アシュケナージ系ユダヤ人の平均IQは他集団より 0.5〜1.0標準偏差高い」
  •  「火の賜物」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    火の賜物―ヒトは料理で進化した 作者: リチャード・ランガム,依田卓巳出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2010/03/26メディア: 単行購入: 6人 クリック: 62回この商品を含むブログ (18件) を見る 書はリチャード・ランガムによるヒト進化における「料理」,あるいは「火の使用」の重要性を主張する一般向けの書物である.リチャード・ランガムは「Demonic Males」(邦題「男の凶暴性はどこから来たのか」)の著書で知られる進化生物学,人類学,霊長類学の研究者であり,ここ10年ほどは人類の火の使用にかかる研究を続けている. 書のストーリーでは,人類は共通祖先からアウストラロピテクスへ,ハビリスへ,エレクトスへ,ハイデルベルゲンシスへ,サピエンスへという進化段階を経ているが,この中で特にハビリスからエレクトスの変化を最もヒト独自の特徴を身につけた時期とみて,その進化の大

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    tokyocat 2010/05/21
    脳と胃のトレードオフ ヒトは食うより考えるのが得意
  • 洋書を読むための電子書籍リーダー,あるいはiPadについて - shorebird 進化心理学中心の書評など

    先月後半にサンフランシスコに所用があり,時間があったのでアップルストアにもよってきた.さすがにお膝元のアップルストアとあってカウンターの後にはiPadが山積みで,それが片端から売れていく.売り切れかと思うとすぐに奥からワゴンで次の山が運ばれてくるという仕組みになっている. もちろんiPadも触り放題とあって,現物をいじってみると,環境設定で言語を日語に簡単に変えることができる.当然サファリで問題なく日語が読める.いじっているうちに,買わずに済ませるという選択肢はなくなってしまった.32G WiFiモデル,599ドル+リサイクルフィー8ドルに消費税9.5%がかかって665ドルお買い上げと相成った. 現在旅行中なので,その場で仮にアクティベートしてくれないかと交渉してみたが,すげなくNoといわれ,*1その場でのアクティベートをあきらめ,戻った後iTunesにつなぐこととなった.現在いろいろ

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    tokyocat 2010/05/07
    《とにかく単語をタップすれば意味がわかるというのは革命的だ.一旦この機能に慣れると絶対に元には戻れないだろう》
  • 「Spent」第1章 ダーウィン,モールへ行く その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior 作者: Geoffrey Miller出版社/メーカー: Viking Adult発売日: 2009/05/14メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 183回この商品を含むブログ (50件) を見る さてこれからGeoffrey Millerの「Spent」を読んでいこうと思う. ミラーは「The Mating Mind」(邦訳「恋人選びの心」)で有名な進化心理学者だ.「The Mating Mind」はヒトの心の広範囲な特徴が性淘汰による適応形質ではないかということが議論されていて大変興味深いだった.ミラーはその後この路線のリサーチをつづけていて,道徳についても性淘汰説を打ち出している.(私のレビューはhttp://d.hatena.ne.jp/shorebird/20091123#1

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    tokyocat 2010/03/13
    《あるいは問題を言い換えようとミラーはいう.「なぜ世界でもっとも賢い霊長類であるヒトはハマーブランドのSUVを 14万ドルで買うのか?」》
  • 「Spent」第3章 なぜマーケティングは文化の中心なのか その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Spent: Sex, Evolution, and Consumer Behavior 作者: Geoffrey Miller出版社/メーカー: Viking Adult発売日: 2009/05/14メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 183回この商品を含むブログ (50件) を見る マーケティングが世界の資源配分にかかる主権を消費者の欲望に与え,世界を変えているのだと説明した後,ミラーはここでマーケティングとミームの関係について整理している. ミラーはミームについての討論会での経験を語っている.そこではスーザン・ブラックモアが,ヒトの文化はミーム淘汰でよく説明できると論陣を張っていて,ミラーはむしろミームはマーケティングによりトップダウンで流行っているのではないかと思ったそうだ. ミラーによると通常のミームの多くは6つのグローバルメディアコングロマリットによってその成功と

    「Spent」第3章 なぜマーケティングは文化の中心なのか その2 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    tokyocat 2010/03/13
    マーケティングと進化論の接近融合(というかこれまでの進化理論にはマーケティングによるバイアスの考察が欠けていたと)
  •  「樹木と文明」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    樹木と文明―樹木の進化・生態・分類、人類との関係、そして未来 作者: コリンタッジ,Colin Tudge,渡会圭子,大場秀章出版社/メーカー: アスペクト発売日: 2007/12/01メディア: 単行購入: 4人 クリック: 56回この商品を含むブログ (6件) を見る 英国のサイエンスライター,コリン・タッジによる「樹木」についての2年ほど前のだ.樹木のことが当に好きな著者が膨大な調査と経験の上で書き上げた渾身の一冊.原題は「The Secret Life of Trees: How They Live and Why They Matter」(なおこれは英国における題で,アメリカでは「The Tree: A Natural History of What Trees Are, How They Live, and Why They Matter」と改題されて出版されている)樹木

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    tokyocat 2010/03/09
    《樹木がどのように情報を扱っているか》《オーキシン,サイトカイニン,エチレンなどの化学的な伝達物質,光周期性の仕組みなど》《情報を扱った方が有利であれば様々な仕組みが利用可能だということがよくわかる》
  • 「The Greatest Show on Earth」 第13章 この生命の見方には荘厳なものがある その4 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Greatest Show on Earth: The Evidence for Evolution 作者: Richard Dawkins出版社/メーカー: Free Press発売日: 2009/09/22メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 74回この商品を含むブログ (34件) を見る ドーキンスによる「種の起源」最終段落へのオマージュもいよいよ最後の文章となった. from so simple a beginning ドーキンスはダーウィンのこの言葉から生命の起源の話をここでしている. 最初に取り上げるのはダーウィン自身のコメントだ.1871年の手紙でダーウィンはこう書いているそうだ. 「生命の起源の条件は過去も現在もあるといわれる.しかし仮に(非常に大きなIFだが)私達が温かい池の中のその条件(まずタンパク質が組成されるための,そしてさらに複雑になっていくた

    「The Greatest Show on Earth」 第13章 この生命の見方には荘厳なものがある その4 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    tokyocat 2010/02/14
    ドーキンスの人間原理《私達が自分自身の存在について気づくためには,多くの多様な生命があって様々な軍拡競争があって始めて進化することが可能になるような感覚系や神経系が必要なのだと指摘》
  • 「The Greatest Show on Earth」 第6章 ミッシングリンク? 失われたってどういう意味? その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Greatest Show on Earth: The Evidence for Evolution 作者: Richard Dawkins出版社/メーカー: Free Press発売日: 2009/09/22メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 74回この商品を含むブログ (34件) を見る さて第6章は「化石」について.ドーキンスは進化が事実であるとするには「化石」証拠は不要であり,「化石」はボーナスのようなものだとここまで何度も強調しているが,もちろん化石も進化についての非常に強い証拠だ. ドーキンスはまず創造論者の「進化の証拠になる化石などない」という言い分について,仮想的な男爵殺人事件における探偵のお話でからかっている. 執事こそが犯人だと動機からアリバイから凶器まですべての証拠がある上にさらに防犯カメラの動画まで(探偵にとってのボーナスとして)そろっている.

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    tokyocat 2009/12/04
    「進化を前提とするならそもそも化石はほとんどすべてが何らかの動物と別の動物の中間形」
  • 「The Greatest Show on Earth」 第2章 イヌ,ウシ,キャベツ その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Greatest Show on Earth: The Evidence for Evolution 作者: Richard Dawkins出版社/メーカー: Free Press発売日: 2009/09/22メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 74回この商品を含むブログ (34件) を見る さてここからが進化に関する証拠の議論だ.ドーキンスはまず家畜と栽培植物から始める.これはダーウィンの「種の起源」と同じ順序であり,ドーキンスのダーウィンに対するリスペクトが感じられる. まずドーキンスは,進化のアイデアはわかってみれば簡単なアイデアだが,何故ダーウィンはあんなに慎重だったのかと問いかける. 何故当時の人々にとって進化はそれほど受け入れにくいとダーウィンは考えたのか.それには,大きな変革を理解するには時間がかかる,地球の歴史の時間スケールが理解されていなかった,宗教

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    tokyocat 2009/11/13
    《生物学は「ウサギ」を三角形のように扱ってきたのだ.ウサギには本質があり,実際に生きているウサギはその反映に過ぎなく,個体的な変異は本質からの逸脱なのであると》
  • 混乱の進化(Atheist Alliance International 2009 Conference in Burbank, California) - shorebird 進化心理学中心の書評など

    先日も紹介したリチャードドーキンスファウンデーション(RDF)が後援している国際無神論者同盟(AAI)主催の2009年のカンファレンスでの講演会だが,ここでは哲学者ダニエル・デネットが講演している. http://youtube.com/watch?v=D_9w8JougLQyoutube.com なおこのページでは720PのHDクイックタイムのファイルがダウンロードできる.http://richarddawkins.net/article,4547,The-Evolution-of-Confusion,Dan-Dennett-AAI-2009-RDFRS-Josh-Timonen 演題は「The Evolution of Confusion」ということだが,中身は(AAIなので当然ながら)宗教について,特に宗教をリバースエンジニアリングしてみたらどういう事がわかるかという内容で,大変面白

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    tokyocat 2009/11/09
    「国際無神論者同盟」というのがあるのか。 ダニエル・デネット
  • shorebird 進化心理学中心の書評など

    War and Peace and War: The Rise and Fall of Empires (English Edition) 作者:Turchin, PeterPlumeAmazon 第7章までで第1部:帝国創成編(Imperiogenesis)が終わり,ここから第2部:帝国病編(Imperiopathosis)になる 第2部 帝国病:帝国の崩壊 第2部では繁栄を極めた帝国や強国がどのように崩壊に向かうのかが詳しく説かれる.第1部ではアサビーヤのブラックホールのような団結心の崩壊だけが描かれたが,第2部では,経済的要因,デモグラフィック要因,社会階層要因なども考察されていく. 最初の第8章で取り上げられるのは14世紀のフランスだ. 第8章 運命の車輪の逆側:栄光の13世紀から絶望の14世紀へ その1 第8章の冒頭は13世紀初頭にパリを訪れた年代記編者バゾーシュの引用から始まっ

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    tokyocat 2009/10/24
    《多くの刑法の論争は哲学的な議論に還元できることが多いのだ.特に重要なのは(1)意図の問題,(2)可能世界の問題だ.》 意外
  •  公開シンポジウム「人間とは何か―ヒトとそれ以外の霊長類の比較研究から分かること」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    10月4日(日)に京都大学霊長類研究所の主催で公開シンポジウムが開かれたので参加してきた.場所は東大郷キャンパスの赤門を入ったところのすぐ北側に安藤忠雄の設計で昨年3月に竣工なった「福武ホール」.コンクリート打ちっ放しの壁の奥に地上1階,地下2階の細長い建造物ができていて,カフェなども併設されている.なかなか最近は東大もおしゃれになったものだ. これはベネッセが後援している比較認知発達研究部門の成果発表でもあるということで,ベネッセ(旧福武書店)がスポンサーということのようである.ベネッセ主催ということで女性の方の参加も多くその意味でも独特の雰囲気のシンポジウムとなった.会場では最近京大霊長類研究所が講談社ブルーバックスから出した「新しい霊長類学」も展示販売されていたが.これはベネッセ買い上げ分で,収益金はチンパンジー保護運動に寄付され,松沢先生のサインもいただけるということだった.早速

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    tokyocat 2009/10/08
    「逆に漢字のパネルと見て色のパネルを選ぶ課題をあたえても,これをこなすことができない」「チンパンジーは今そこにあるものだけを見ている.ヒトは過去と比較し,未来を想像し,その場にないものを考える」
  •  「名誉と暴力」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    名誉と暴力: アメリカ南部の文化と心理 作者: リチャード・E・ニスベット,ドヴ・コーエン,Richard E. Nisbett,Dov Cohen,石井敬子,結城雅樹出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2009/04/01メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 46回この商品を含むブログ (3件) を見る 文化心理学者ニスベットとコーエンによるアメリカ南部の「名誉の文化」についてのである.アメリカ南部*1の文化とは何かというのは日人にはあまりなじみのないところだろう.「風と共に去りぬ」を見たり,読んだりした人なら何となく感覚はわかるかもしれない.ここでは南部諸州の白人の中で,「男性が礼儀正しく,名誉のためには死をも恐れない」というロマンスと上品さに満ち,他方で暴力的な側面も持つ文化があることを指している.私自身アメリカ南部で暮らしたことはなく何度か訪れたことが

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    tokyocat 2009/07/09
    《社会条件が文化に影響を与えているという興味深い研究を示す有名な本》
  •  「分子進化のほぼ中立説」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    分子進化のほぼ中立説―偶然と淘汰の進化モデル (ブルーバックス) 作者: 太田朋子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/05/21メディア: 新書購入: 13人 クリック: 68回この商品を含むブログ (15件) を見る 集団遺伝学者太田朋子による「ほぼ中立説」の解説書.著者は分子進化の中立説を提唱した木村資生のもとで研究を行い,ほぼ中立で弱有害遺伝子の浮動・淘汰過程について様々な業績を挙げた学者である. 書はわずか140ページ弱の著作だが,内容は濃い.中立説の勃興から分子進化学,エヴォデヴォによる様々な発見まで研究の第一線に居続けた著者による,臨場感豊かな歴史と,非常に簡潔で質を突いた解説がミックスされた魅力あふれる書物になっている. まず最初に集団遺伝学の基礎が解説され,その質が集団における対立遺伝子頻度の変化を捉えるものであることが示される.そして中立説が示した遺伝的な

     「分子進化のほぼ中立説」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
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    tokyocat 2009/07/03
    《弱有害遺伝子は浮動と淘汰の両方に影響されるので,集団規模が大きいと淘汰の影響が強くなり,小さいと浮動の影響が強くなる》
  •  「ナンパを科学する」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略 作者: 坂口菊恵出版社/メーカー: 東京書籍発売日: 2009/04/17メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 28人 クリック: 223回この商品を含むブログ (19件) を見る HBES-Jの事務局として活躍されていた進化心理学者坂口菊恵先生によるである.一般向けの単著としては初めてのということで,これまでのご自身の研究を踏まえて書かれており,大変まじめな啓蒙書の仕上がりになっている. *1 内容はナンパ,痴漢のされやすさの個人差にかかる進化心理学的なリサーチが主体である.進化心理学的なリサーチは通常,ヒトのユニバーサルな特徴について適応の視点から説明しようというスタンスが基になる.しかし片方で,ヒトの性格(そしてそこから生まれる行動特性)には多くの個人差があることが知られている.書ではこの個人差について考えていこうというもので,リサ

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    tokyocat 2009/05/26