「原爆詩集」で知られる詩人峠三吉(1917~53年)の人生をモチーフにした戯曲「河」が23、24日、広島市西区の横川シネマで上演される。峠の生誕100年を機に、広島文学資料保全の会(土屋時子代表)を中心に企画し、広島では30年ぶりの再演。市民有志が稽古に励んでいる。 「河」は、土屋清さん(87年に57歳で死去)が脚本・演出を担い、63年を初演に各地で上演された。50年の朝鮮戦争勃発を挟み、平和や民主主義が揺らいだ時代の広島が舞台。峠が病を押して、サークル「われらの詩の会」に集う若者たちと新しい文化運動を目指し、被爆体験の意味を問い直していく青春群像劇だ。 全4幕の随所に「原爆詩集」などの詩がちりばめられ、言葉を武器に社会を変えようとする峠の思いを訴え掛ける。演出を手掛け、峠の妻春子役で出演する土屋代表は「今の時代を一人一人がどう生きるか、一つの指針として感じてもらえたら」と話している。 開