タグ

ブックマーク / jtsutsui.hatenablog.com (18)

  • 計量分析におけるミクロとマクロ - 社会学者の研究メモ

    このエントリは関心のない人は読まない方がいいかもしれません。(頭が痛くなるわりにそれほど重要な話でもないので。) 計量分析の世界では、しばしば「性別」や「学歴」が個人レベル変数で、たとえば国の特徴を表す変数(「社会支出のGDP比」など)がマクロ変数だと考えられています。結論から言えば特に問題はないのですが、ではどうして後者がマクロ変数なのかと考えはじめると、意外にややこしい説明が必要になります。 しばしばなされる説明は、マクロ変数は「集団の特性」を示す、というものです。たとえば教育社会学でしばしば利用される学校データだと、個人の特徴(性別、出身家庭のSES、エスニシティなど)に対比して学校レベルの特徴(生徒数、男女比、公立か私立か、学校の人種構成など)がマクロである、と理解されています。 しかしここで「集団の特徴だとマクロレベルだ」と考えると、性別やエスニシティがなぜミクロレベルなのかがう

    計量分析におけるミクロとマクロ - 社会学者の研究メモ
    tsfmysd
    tsfmysd 2015/02/28
    “要するにあらゆる変数は集団の(厳密にはデータの最小単位の)「分け方」だと言うことができてしまうわけです。”
  • パネルモデルの直感的説明 - 社会学者の研究メモ

    社会学, 社会調査こちらでは24時間ぶっつづけでハイチ地震のニュース。他のニュースはもうほったらかしです。CNNのクーパーさんも(例によって)現地に入ってレポートしています。題。マルチレベルデータが徐々に社会学でも使われるようになってきてますが、マルチレベル・モデルを含めてその分析手法についてはまだちょっと浸透していない段階だと思います。とある科研で「研究会(教育?)担当」になっていることもあり(外国にいて現状全く貢献できてませんが)、手法についての分かりやすい(数式を使わない)解説を試みます。さしあたりランダム効果モデルと固定効果モデル、いわゆるパネル・モデル。直感を優先しているので必ずしも正確ではない記述もあります。モデル選択の概要ここに典型的なマルチレベルデータがあります。横軸が所得、縦軸は、なんでもいいのですが、パネルデータっぽくするために消費にしてみます。(単位は適当に想像して

  • 社会学にとって理論とは何か - 社会学者の研究メモ

    「理論と実証」について考えるときに、しばしば忘れられてしまうのは、理論と実証以前に、その両者に意味を与えるもっと大事なことがある、ということです。それは「問題関心」です。そして多くの実証研究は、この問題関心から出発しています。階層研究であれは公平性、都市研究であればコミュニティの価値、などが一例になるでしょう。そういった(根的には日常の社会生活に根ざしている)問題関心があるからこそ、それに関わる問を立て、答えていくという研究活動が成立するわけです。ほとんどの実証研究はこの枠組みに沿って行われているはずです。(そうではないものはちょっと想像しにくい。) 要するに、研究は実証するために行うものではありません。理論を構築するために行うものでもありません。理論を実証するために行うものでもありません。特定の問題関心から発する問いに、説得力をもって答えるために行うものです。(だから、日常的なコミュニ

    社会学にとって理論とは何か - 社会学者の研究メモ
  • 家事分担研究の現在 - 社会学者の研究メモ

    社会学そのうちこちらでプレゼンをすることになりそう...なので頭の整理メモ。話自体は家族と仕事に関する日の研究アジェンダの変化についてを予定しているのですが、家事分担研究も重要なパートです。家事分担研究は、いくつかある家族社会学の流れの中でもかなり目立ったグループを形成しています。なかでも盛んなのは夫婦間の家事分担規定要因の研究(家事分担はどういった要因で決まるのか?)です。参考までに、日の夫婦の家事分担の現状を示すデータをご紹介しましょう。以下は、夫婦の家事時間の総量を100としたときのの分担割合(%)です*1。...というわけで、ごらんのとおりのありさまです。日の家事分担のへの偏りぶりは家族社会学界では周知の事実で、世界を見渡してみても、日の男はダントツで家事をしていません。このデータを見て、「そりゃ日の男はめちゃくちゃ働いているもん、無理もない」と思われるかもしれません

    tsfmysd
    tsfmysd 2013/11/19
    そのうち,離家経験(さすがに期間まで投入するのは難しいけど)を説明変数に投入して親元同居後に結婚した男性と比較して効果があるかみたい.
  • 計量分析を使った論文の構成ガイド - 社会学者の研究メモ

    研究者個々人の好みや分野によって異なるところもあるが、標準的・テキストブック的には、以下のようになるだろう。 イントロダクション 先行研究の紹介と問い・仮説の設定 分析 結論/討議/インプリケーション この「分析」のパートについては、社会学界隈では下記のように教えることが多いような気がする。 データと変数の説明 使用する変数の基統計量 丁寧な記述的分析(クロス表やグラフ) モデルを使った推定 確かに社会学の論文では、モデルの推定をする前にたくさんのクロス表を掲載していることがある。そうしておいて、最後に「クロス表から得られた以上の結果を重回帰分析で検証してみる」のである。かつては私もそのようにしていたのだが、自分としてはこの方針で論文を書くことはなくなった。 はたして以上のような分析の手順は、意味のある手順であるといえるだろうか? モデル推定で擬似相関であることが分かるような変数の効果に

    計量分析を使った論文の構成ガイド - 社会学者の研究メモ
  • 『統計学が最強の学問である』感想 - 社会学者の研究メモ

    読みました! 自信をもって学生にお勧めできるであると思います。 統計学が最強の学問である 作者: 西内啓出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2013/01/24メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 11人 クリック: 209回この商品を含むブログ (126件) を見る 「統計学が最強」という言い方の"根拠"となっているのは、なによりもランダム化比較実験によって理論や経験知をすっ飛ばして因果関係に白黒つけることができるから、ということらしいです。このカテゴリーの(いわゆる統計リテラシー)は数あれど、たいていは調査(標抽出)の怪しさや分かりやすい擬似相関について言及があるのみで、ランダム化を基軸に据えた記述はほとんどなかったと思います。言うまでもなく、R. フィッシャーの大発明であるランダム化は、実験のみならず調査観察データの分析の方針(特に計量経済学のもの)にも決定的な影

    『統計学が最強の学問である』感想 - 社会学者の研究メモ
  • 第二回連携研究会を終えて - 社会学者の研究メモ

    「人文学・社会科学における質的研究と量的研究の連携の可能性」第二回研究会もなかなか盛り上がりました。結局前回と同程度の参加(30名弱)がありました。参加者の方々、ありがとうございました。 研究会の趣旨には、実は「連携」を模索すると言うよりは、お互いの立ち位置を確認し、不用意な誤解を解き、互いに適切に評価しあうための語彙を模索する、という側面があります。その点でもある程度進展があったと思います。 最初は前田泰樹さん(東海大学)の報告(「行為の記述・経験の記述:質的研究とエスノメソドロジー」)でした。前田さんはいわゆる「ウィトゲンシュタイン派エスノメソドロジー」の立場から研究されていますが、そのことを知らなくても十分に研究(分析)の方針が伝わるようなやり方で報告していただきました。すでに当事者によって「記述のもとで理解」されている振る舞いを、必要なレベルの精度で再記述するというEMの研究方針

    第二回連携研究会を終えて - 社会学者の研究メモ
  • 説明と選抜:統計学における2つの「関心」 - 社会学者の研究メモ

    社会学者や経済学者にとって、統計学をベースにした計量分析とは、何かを因果的に説明する道具であるという側面がある。賃金を学歴で説明するというとき、それは他の条件が同じで学歴が変化したときの賃金の変化量を推定する、という意味である。 (記述的な分析手法を含めて)統計学を学ぶ人のほとんどは、この「説明(explanation)」のためにそれを学んでいるのだと考えられる。 しかし統計学には、それとは全く異なった目的が託されることもある。それは「選抜(selection)」である。統計学を選抜に使うというのは、それをアカデミックに活用している研究者からみても、実はあまり馴染みのない考え方である。というのも、あとで詳しく述べるが、選抜は学問的説明とは相容れない考え方だからだ。 しかし選抜は、実践家においては大いに意味がある考え方である。「限られた回数の耐久力テストの結果から、真に優れた個体を選抜する」

    説明と選抜:統計学における2つの「関心」 - 社会学者の研究メモ
    tsfmysd
    tsfmysd 2012/01/28
  • 社会学における「理論の実証」 - 社会学者の研究メモ

    (以下は二〜三カ月前に書いたメモですが、寝かせておいてもあまり意味がなさそうだし、稲葉先生もシノドスの論考を公開されたのでいいタイミングだと思うのもあり、ちょっと手を入れた上で公開します。) 社会学の問いの特徴 私は、学部のゼミでは(大学院でも基的にはそうだが)、いわゆる「標準的な研究プロセス」に従って個人研究をするように指導している。標準的な研究プロセスとは、問いを立て、それに対する理論仮説をデータ(質的・量的)で検証するという手続である。 その際、しばしば「社会学的な問いの立て方」というものを説明する必要が出てくることがある。学生は基的に社会学の授業をいくつか受けているので、そうしたほうが効率がよいからである。それに、意外に「社会学的な問いの立て方」を説明するのは簡単なのだ。 それは、「注目する現象/人間行動が、性別、年齢、学歴で違いを持つかどうかをまず考えてみたら?」というもので

    社会学における「理論の実証」 - 社会学者の研究メモ
  • 見合い結婚と恋愛結婚 - 社会学者の研究メモ

    いつまでもブラックモンブランだと社会学ブログとしてヘンなので、社会学っぽいネタを。次回の家族社会学会で報告する予定の話。 しばしば対比的に考えられている「お見合い結婚」と「恋愛結婚」ですが、実は純粋にこれらが分離していたことはあまりないです。配偶者選択というのは、ほぼ三つのプロセスで進みます。 サーチ 調査 意思決定 で、これら三つそれぞれについて、その主体が誰であるかによって配偶者選択方法を分類できるわけです。最も伝統的なのは「親か仲人が相手を捜してきて相手の身辺調査をし、さらに意思決定をしてしまう」場合。最も近代的なのは、すべて自分でやってしまう場合。現代の恋愛結婚では通常「調査」はしないのではないかともいえますが、婚前の付き合い期間が実質的な「素性・相性チェック」の機能を果たしていると考えることができます(合わなければ結婚もしない)。 で、JGSSの新しいデータを使って実際に調べてみ

    見合い結婚と恋愛結婚 - 社会学者の研究メモ
  • 少子化問題の整理 - 社会学者の研究メモ

    社会学ちょっと前に野田聖子議員が少子化問題についてぶっちゃけてました。自民党少子化を加速させた:自民党・野田聖子衆院議員インタビュー(日経ビジネス、2010.2.15)内容をまとめつつ、コメントをつけてみます。最初に言っておきますが、正確な知識は各自に文献をあたるなどしてください(検索すればいくらでも出てくる)。ここでは粗めの情報のみです。あと、「子どもが増えてだからどうなんの」という(controversialな)話もしてません。一言だけいっておくと、「日だけ他の先進国と違って少子化を放置する」というのは、社会主義ほどではないにせよ壮大な社会実験の域になりますから、ちょっとスリリングすぎるような気もします。(いや、今でも十分実験状態なんだけど。)問題の整理...とその前に、頭の整理をしておきましょう。いま極端な少子化で深刻に悩んでいる主な先進国はというと。まず、日もびっくりなペース

  • 社会学者の研究メモ

    社会を知るためには (ちくまプリマー新書) 作者:筒井淳也発売日: 2020/09/09メディア: 新書 (前回の続きです。は初学者向けですが、「補論」シリーズはそうではないかもしれないので、ご理解ください。) 社会の各部分の「噛み合わなさ」を考えるとき、私自身は以下のようなリストを思い描いている。(このリストはでは示していない。) 政策・プログラム:意図的な目的に沿った介入。 構造要因:経済(産業・職業・雇用)構造、人口構造、家族構成など。結果的にもたらされている状態。 価値観・態度:人々が望ましいと考える状態。 社会学や近隣分野では、しばしばこれらの要素の絡み合いによって「社会を記述」する。たとえば(第一次)人口転換の先の出生力の低下についていえば、「経済成長の鈍化と産業構造の変化が女性の労働力参加をもたらし、出生力の低下圧力がかかったが、男女均等の価値観の浸透もあり、両立支援政策

    社会学者の研究メモ
  • 「家族福祉論の解体」感想 - 社会学者の研究メモ

    先日の研究会にも参加してくれた久保田さんの最近の論文です。 久保田裕之、2011、「家族福祉論の解体」『社会政策』3(1): 113-123. 非常に示唆的な論考で、興味深く読みました(今年一番の収穫だったかも)。私なりに内容をまとめると...(下手なまとめかもしれませんが...)。 家族を作ることが当たり前であったのは過去の話、結婚するかしないか、子どもをつくるか作らないか、個々人が選んでいく時代になっている。 それなのに、福祉供給の対象を「家族」に設定すると(つまり「家族福祉」)、あえてその選択をしなかった人に対しては不公平だ、ということになる。 「じゃあ福祉供給を個人単位にすればいいじゃない」と言いたくなるかもしれないが、そうはいかない理由がある。家族を作るか作らないかにかかわらず、人が生活していく上で必要である条件はあるはずだから。たとえば「(非対称的な)ケア」。誰だって子どものこ

    「家族福祉論の解体」感想 - 社会学者の研究メモ
  • 『社会調査のための統計学』 - 社会学者の研究メモ

    社会調査のための統計学 ?生きた実例で理解する? (現場の統計学) 作者: 神林 博史  ,三輪 哲出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2011/07/23メディア: 単行(ソフトカバー) クリック: 63回この商品を含むブログ (7件) を見る 一変数の分布から統計的検定の基礎までをカバーしていますが、「徹底的に初学者にやさしい」執筆方針が随所に見て取れ、頭が下がります。しかも数式等を省略せず、しかし丁寧にわかりやすく説明しています。 まったく数量データに触れたことがない学生さんでも、書を手にすれば、抵抗感なく調査データの量的分析に入っていけるのではないでしょうか。

    『社会調査のための統計学』 - 社会学者の研究メモ
  • 社会調査法のテキスト - 社会学者の研究メモ

    でも社会調査法のテキストブックは数多く出版されている。おそらく100冊は下らないのではないか。質の高いものも多く、そのなかでどれを選ぶのか、なかなかに悩ましい問題だ。 講義で使うこともあって様々なテキストブックを眺めてきたが、私見では、下のテキストは出色である。 入門・社会調査法―2ステップで基礎から学ぶ 作者: 轟亮,杉野勇出版社/メーカー: 法律文化社発売日: 2010/04メディア: 単行 クリック: 9回この商品を含むブログ (9件) を見る このは、社会調査においてほんとうに大事なことを省略していない。たとえば第4章の「社会調査のデザイン」では、調査を設計する前にリサーチクエスチョンを練り上げる必要性を、無作為割り当て実験と調査との違い、擬似相関を除去して因果分析を行う際に必要となる共変量データの採取、という面から丁寧に説明している。選択バイアスに触れているのも貴重である

    社会調査法のテキスト - 社会学者の研究メモ
  • 質的研究と量的研究について - 社会学者の研究メモ

    とある出版企画でそういうお話を書かなければいけないので、社会学におけるいわゆる「質的研究」と「量的研究」の区別についてメモを書いておく。 結論から言うと、次のように考えるとミスリーディングである。つまり、「まずある<理論>があって、それを<実証>する手段として質的な研究と量的な研究がある」という考えである。こういう考え方は、混乱のもとであるから、避けたほうがよい。多くの社会調査論のテキストでは調査手段の選択として「質的調査」と「量的調査」を選択することがあるかのように書かれているが、少々説明不足である。そうではなく、さしあたり量的研究とその他のタイプの研究が、量的研究とどのような関係にあるのか、と考えたほうがスッキリする。 分野外の研究者からすれば見えにくいが、実際には量的研究と言っても様々である。が、現状からして、「複数のパラメータを含むモデルを構築し、それをデータに当てはめて統計学的推

    質的研究と量的研究について - 社会学者の研究メモ
  • 論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ

    なんだかアクセスが多くてびっくりですが、それだけいろんな人が研究の方法に関心を持っているということでしょう。 昨日、こちらの大学院で研究している日出身の院生の方とお話をする機会がありました。課程留学された動機を伺ったところ、少なくとも当時の日ではなかなか学べなかった研究法の指導が充実しているから、といったことをおっしゃっていました。「最近は社会学でもちょっとずつ変わっているという感触はありますよ」と伝えましたが(あくまで感触)、なにしろ北米の大学の研究法関連の文献や授業の充実度はすごいですからね〜。 文化もあると思うんですよ。アメリカ、カナダでは、研究じゃなくても「自分の持っている情報を説得力を持って伝える(presentation)」能力に大きな価値を置きますからね。 ですから研究報告でも、難しい話をする人がいるとして、聞き手がちんぷんかんぷんだと、聞き手のレベルが低いと思われずに、

    論文の書き方:FAQ - 社会学者の研究メモ
    tsfmysd
    tsfmysd 2009/11/23
    ハッとした >もしかして宮台先生や大澤先生がやってるみたいな研究を言っているんですね? わかります。え、ウェーバー? 読むだけにしてください。
  • 面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ

    今回も教科書ネタ。 学生の論文には、読んでいて面白いものと、苦痛なもの指導しがいのあるものがあります。後者のような論文を書く学生は、論文についてこう考えていることが多いです。 興味のあることを見つけて、それについて文献を読み、それをまとめて、最後に自分の意見を書く。 こういう指導をされている先生方は意外に多いのではないかと思います(自分も昔はそうでした)。指導がラクだし。しかしこれは論文を書くときの方針にはなりませんし、してはダメです。 論文とは「研究成果」のアウトプットの1つです。少なくとも社会学における研究とは、解かれていない謎や決着のついていない問いを自分で見つけ出し、データ等の証拠を使ってそれに答えることです。(それ以外の論文もありますが、まず基を抑えないとダメです。)上記のダメ方針は、研究と単なる勉強を取り違えているのです。 研究の手順は標準的に教えられているもので十分です。

    面白い論文の書き方(その一) - 社会学者の研究メモ
    tsfmysd
    tsfmysd 2009/11/23
    ためになる
  • 1