法政大学出版局はこのほど、現代ドイツの代表的哲学者、ハンス=ゲオルク・ガダマー(1900~2002年)の主著『真理と方法III』(轡田収・三浦国泰・巻田悦郎訳、3990円)を刊行した。邦訳版全3巻の3巻目。第1巻刊行から、実に26年を経て邦訳が完結した。 完結を機に、第1巻も新装版として重版された。3990円。 ガダマーは独マールブルク大などに学び、ハイデッガーに師事してその哲学の強い影響を受けた。ライプチヒ大、ハイデルベルク大などで長く教鞭(きょうべん)を執り、古代ギリシャ哲学などの読解や文献研究の中から生み出された哲学的解釈学を提唱。異時代のテクストを解釈する際に、過去の歴史や伝統と現在の解釈者との間に起こる相互作用に注目した独自の哲学を構築し、欧米思想界に大きな影響を与えた。 独フランクフルト学派の哲学者ハーバーマスや、仏ポスト構造主義の哲学者、デリダと論争を行ったことでも知られる。