岸田首相がNATOとの急速な接近を図っている。昨年6月にはNATO首脳会合に出席し、今年1月には来日したストルテンベルグ事務総長と会談。安全保障分野での協力を強化するという。ロシアによるウクライナ侵攻の凄惨(せいさん)さから、反転するようにNATOの正当性が流通し、首相のこの動きについても批判的な言説は皆無に等しい。 デジャヴを感じずにはいられない。想起するのは1999年3月24日から78日間にわたって行われたNATOのユーゴ空爆である。ユーゴの一部だったコソボの紛争に介入する形で行われたこの軍事アクションは、彼の地でのアルバニア人の人権擁護が論拠とされ、スーザン・ソンタグをはじめとする著名な知識人たちもNATOの軍事行動を支持した。 コソボ ヨーロッパ南東部のバルカン半島に位置する。第2次世界大戦後、長く旧ユーゴスラビア連邦を構成するセルビア共和国の自治州だったが、2008年2月17日に
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