歴史文書を守り、次代に伝えることは重要な国家事業だ。国立公文書館(東京都千代田区)を新たに国会周辺に設置する動きが本格化している。新公文書館は、機能、体制の両面で刷新が必要だろう。 現在の国立公文書館は、憲法や終戦詔書などの原本、各省庁の文書を保管している。本館と茨城県つくば市の分館の収容能力は、いずれも「4年後には限界」(関係者)が見込まれ、超党派の議員連盟や政府の有識者会議が国会周辺での新設を求めている。 国立公文書館には、国の政策決定過程の透明性確保と国民共有の歴史的・文化的な資産たるべき役割が期待される。国の政策決定過程を透明化するためには、所蔵文書へのネットアクセスが不可欠だが、所蔵公文書のデジタル化は1割程度。展示スペースも憲法の原本を複製でしか見ることができないのが実情だ。 政府の有識者会議が「展示や学習の機能を前提とはしておらず、職員数や文書の所蔵量も諸外国と比べ著しく見劣