林芳正官房長官は29日午前の記者会見で、6月から始まる定額減税のうち所得税の減税を給与に反映しなかった企業への罰則について「税法上の罰則は設けられていないが、労働基準法に違反し得るものと考えられる」と述べた。 その上で林氏は、企業に違反が認められた場合には「まずは労働基準監督機関から是正指導が行われる」との見解を示し、直ちに罰則が適用されるものではないと説明した。
古文書からは一揆後も国人たちがやり取りを続け、つながりが残っていたことがうかがえる=京都府庁で2024年4月2日午後3時3分、中島怜子撮影 戦国時代、自治に初めて成功したとされる「山城国一揆(やましろのくにいっき)」(1485~93年)に関する古文書が大量に見つかった。一揆の原動力となった国人(地方在住の武士)らのやり取りが克明に記された新出史料。詳しい分析はこれからだが、専門家は「将来、教科書の記述が変わる可能性もある」とみている。 見つかったのは一揆で中心的役割を担った椿井(つばい)家に伝わる書状の写し124通。馬部隆弘・中京大教授が2021年、奈良県平群町教育委員会に所蔵されていた大量の古文書を見つけた。3年かけて調査し、椿井家の関連文書と特定した。室町・戦国期の書状を江戸時代の子孫が写したものとみられ、京都市東山区の八坂神社に残る原本7通と内容が共通していることから、本物と確認した
鉄道・運輸機構が男性の遺族に通知した、業務災害の「不認定」を知らせる文書=大阪市北区で2023年11月24日、梅田麻衣子撮影 旧国鉄の検査・整備工場で約35年間アスベスト(石綿)に接する作業をして亡くなった男性職員の遺族が、死因に石綿関連がんの「中皮腫」と記載された死亡診断書を添えて遺族補償を求めたところ、清算事業を引き継ぐ鉄道・運輸機構が不認定と通知していたことが分かった。厚生労働省が認定基準を定める民間企業のJR職員ならば救済されるケースに当たるが、同機構は独自の厳しい判断について「厚労省の規定に拘束されず、問題ない」としている。遺族は異議を申し立て再審査を求めている。 JR職員なら救済対象 男性は1940~75年ごろ、国鉄幡生(はたぶ)工場(山口県)や博多総合車両部(福岡県)で車両の検査や解体、改修に携わり、石綿含有の断熱材を除去するなどの作業に当たった。本人が生前に残したメモには、
脳などへの電子機器移植後に立ち上がれるようになった脊髄損傷患者のリハビリの様子=研究チーム提供(CHUV/Gilles Weber) 脊髄(せきずい)損傷で下半身がまひした患者に、脳からの信号を伝えるワイヤレスの電子機器を頭部と脊髄に移植したところ、階段を上り下りするなど足腰を自発的に動かす能力を取り戻した。スイス連邦工科大などのチームが、英科学誌ネイチャーで24日に報告した。脳と機械を連動させる技術「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」を応用したリハビリの成功例として注目される。 患者は12年前の自転車事故で脊髄を損傷し、足を動かすことができなくなった男性(40)。中枢神経である脊髄は脳からの信号を体の各部位に伝達するとともに、末端の手足の感覚を脳に伝える役割を担う。これが遮断されるとまひが起きる。
大阪地検と大阪府警は12日、窃盗事件で逮捕した少女(17)について、誤って20代の成人女性として起訴したことを明らかにした。少女は実在するこの日本人女性のマイナンバーカードを所持していたことから、検察や警察は他人へのなりすましを見抜けなかった。この日は初公判で、大阪地裁は刑事裁判を打ち切る公訴棄却の判決を言い渡した。地検は少女を大阪家裁に送致した。 地検や府警などによると、少女は2月下旬、大阪市中央区のバーで現金入りの財布を盗んだとして緊急逮捕された。捜査員に女性名義のマイナンバーカードを示し、正確な生年月日も説明した。女性からはカードの盗難届が提出されていたが、府警は少女の供述と身分証の内容が一致することから、十分な人定捜査を実施しなかった。
新型コロナワクチンのコールセンター業務を巡り、委託先でオペレーターの水増し報告があったことを説明する大阪府吹田市の職員=吹田市役所で2月10日、三角真理撮影 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、大阪府枚方市など3市からコールセンター業務を受託していた人材派遣会社「パソナ」(東京都)は10日、再委託先の企業がオペレーターの人数が足りないのに虚偽報告し、委託料計約10億8000万円分を過大請求していたと発表した。 市民からは「電話がつながりにくい」などの苦情が寄せられており、パソナは「管理不行き届きにより、市民の皆様に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。3市に返還した上で、再委託先の「エテル」(大阪市)に損害賠償を求めるとしている。 業務を委託していたのは枚方市、同府吹田市、兵庫県西宮市。パソナによると、必要なオペレーター数を3市と定期的に確認し、エテルに再委託していた。
生活保護費を受給できたが、「ほかの外国人で同じような目に遭っている人がいないか心配」と話す日系ブラジル人の女性=愛知県安城市で2022年12月22日午後6時16分、藤顕一郎撮影 愛知県安城市役所の職員が、生活保護を申請しようとした日系ブラジル人の女性(41)に、「外国人に生活保護費は出ない」と虚偽の説明をしていたことが、関係者への取材で判明した。職員は「国に帰ればいい」と暴言も浴びせたという。支援者らの働きかけで受給が決まったが、女性は「ほかの外国人も同じような目に遭っていないか心配だ」と話している。 関係者によると、女性は約10年前に来日した。夫(42)は県内の自動車部品工場などで働いていたが、新型コロナウイルス禍で失職。以降はアルバイトをしていたが、無免許運転などで逮捕されて収入が途絶えた。
元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが性被害を受けた問題で加害側の隊員らの処分について説明する吉田圭秀・陸上幕僚長=東京都新宿区の防衛省で2022年12月15日午後3時38分、幾島健太郎撮影 陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県)に所属していた元1等陸士、五ノ井里奈さん(23)が複数の男性隊員から性暴力を受けた問題で、防衛省は15日、五ノ井さんからの被害申告をほぼ全面的に認め、直接的に関与した20~40代の1等陸曹~3等陸曹の計5人を懲戒免職とした。性暴力を巡り、一度に5人が懲戒免職となるのは極めて異例。 五ノ井さんから申告があったのに調査しなかった30代の中隊長=1等陸尉=が停職6カ月とされ、懲戒処分の対象は計6人に上った。このほか、五ノ井さんに性的発言をした30代の3等陸尉が訓戒、監督責任を問われた大隊長=2等陸佐=と連隊長=1等陸佐=が注意や口頭注意とされた。
愛知県警岡崎署(同県岡崎市)の留置場で無職男性(43)が勾留中に死亡した問題で、身体を拘束された状態の男性に、複数の署員が暴行していた疑いがあることが、県警関係者への取材で判明した。特別公務員暴行陵虐容疑に当たる可能性があり、県警は署員らから事情を聴くなどして調査している。 関係者によると、留置保護室内に設置された監視カメラに、複数の署員が横たわる男性に対し暴行するような様子が映っていた。それぞれ入室した際、問題の行為があったという。けがは確認されていない。男性は暴れるなどしたため保護室に移され、ベルト手錠や捕縄といった「戒具…
衰退に向かう日本のような国では、野党の責任も重い。 安倍政権が分断の政治をしたというが、野党も踏み絵を踏ませている。原発に反対か、消費増税に反対か、憲法改正に反対か、次々と「反対の踏み絵」を踏ませて全部踏まないと仲間と認めない。「正義の線」を引くことに酔いしれ、その結果、味方は減る一方だ。 「野党共闘」と言ってまるで立憲民主党と共産党が一蓮托生(いちれんたくしょう)であるかのような印象を国民に与え、「反対の線」で可能な限り政策をそろえようとする。ならば一つの党を作ったほうが早いのであって、各党の独立を前提とした共闘からはそれ、違いが分かりにくくなる。 実際、立憲民主党の中でも消費減税に対して否定的な声は相当あったが、共闘が優先され、そうした声は押しつぶされた。野党共闘などと力まず、淡々と選挙区調整をやればいいだけのことではなかったのか。 「私たちの理念」が欠けている 「格差是正」はいまだに
27日に開かれた安倍晋三元首相の国葬に出席した長崎県平戸市の黒田成彦(なるひこ)市長(62)が自身のツイッターに、一般献花者の多さに触れ「テレビよ、反日勢力よ。この静かな反撃を直視せよ!」と投稿した。国葬に反対する人たちを念頭に書き込んだとみられるが、黒田市長は「反安倍勢力を意味したもので、国葬に…
上智大学の非常勤講師に賃金を支払っていないとして、大学側が労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが関係者への取材で判明した。大学側は勧告に応じず、労働基準監督署が出した勧告書の受け取りも拒否したという。是正勧告は法律違反を前提とした行政指導。是正しない場合などは書類送検されることがある。知名度の高い高等教育機関が行政指導に背いたことに、関係者からは疑問の声が上がっている。 賃金の不払いを申告したのは、語学の非常勤講師を務める60代の女性。女性が東京労働局中央労働基準監督署に提出した申告書や、加盟する労働組合「首都圏大学非常勤講師組合」によると、女性は日本語初級コースを担当。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた2020年度からのオンライン授業の導入に伴い、教材を1人で作成した。
ロシアのウクライナ侵攻で死亡した人たちの墓地(ドローンにより撮影)=ウクライナキーウ州イルピンで2022年4月18日、ロイター 認めたくないことだが、核兵器の使用も辞さないとするプーチン・ロシア大統領の恫喝(どうかつ)を前に、ウクライナ情勢への北大西洋条約機構(NATO)側の姿勢も慎重さを強いられている。 それに加えて、北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長の「韓国の先制攻撃に対しては核兵器で反撃する」との発言は、核抑止力に関する日本の議論を加速させるきっかけとなる気配だ。 机上の空論 といっても、これまで叫ばれてきた日本の核武装論は、戦略的視点、軍事的合理性、実現可能性を無視した机上の空論に終始してきた。 特に大前提となる戦略的視点について、日本の安全保障上の選択肢が①日米同盟の徹底活用②武装中立のいずれかしかないこと、そして、日本の軍事力(自衛隊)が同じ敗戦国のドイツとともに自立できない構造
北海道旭川市で2021年3月、中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)が凍死した状態で見つかった問題で、いじめの有無について市教育委員会から調査を委託されていた第三者委員会が「いじめとして取り上げる事実があった」とする調査結果をまとめ、27日に遺族側に内容を伝えた。同日、第三者委が明らかにした。近く、調査結果の詳細を発表するという。 広瀬さんが当時通っていた学校や市教委は当初、「いじめと認知するまでには至らない」と結論づけていたが、これが覆る形となった。黒蕨真一教育長は「当時、いじめの認知に至らなかったことを、教育委員会として厳粛に受け止めている。今後、信頼回復に向け全力で取り組みたい」とのコメントを出した。
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