相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者19人が刺殺された事件は、戦後最悪の凶行とされる。 元職員、植松聖容疑者は重度の障害者を標的に犯行に及んでおり、その残忍さ、卑劣さは際立っている。さらに異常なのは「重複障害者が生きていくのは不幸。不幸を減らすためにやった」とする、あまりに身勝手な供述である。 今年2月、衆院議長公邸に持参した手紙には「保護者の疲れきった表情、施設で働いている職員の生気の欠けた瞳」「障害者は不幸を作ることしかできません」といった記述もあった。 懸命に生きる障害者や見守る家族を、これほど侮辱する、腹立たしい犯行動機があるか。 知的障害者と家族などの団体「全国手をつなぐ育成会連合会」は障害者に向けて「私たち家族は全力でみなさんのことを守ります。ですから、安心して、堂々と生きてください」とメッセージを公表した。 そして、障害者の不安を軽減するためにも、誰よりも被害者の
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件で、神奈川県警は犠牲者やけが人の氏名を公表していない。当事者たちの思いは複雑だ。 胸を刺されて入院中の森真吾さん(51)の母の悦子さん(79)=相模原市緑区=は、津久井やまゆり園で16年前に開かれた運動会で笑顔を見せる真吾さんの写真を取り出した。「これ、よく見て下さい。うちの真吾です、かわいいでしょう」 真吾さんは一時意識不明になった。29日も入院中だが、手を握ると握り返すほどに回復してきたという。 園に入って約20年。重い障害があり、言葉を発することが困難だ。これまで、近所の人や親戚にもほとんど伝えずにいた。 それが事件で変わった。 事件当日、園を訪れた際に父の正英さん(82)の姿がテレビに映った。翌27日の朝日新聞の取材では名を伏せるよう求め、匿名で報じられた。報道で気付いた親戚などから、安否を案じる電話が入り始めた。他メディアの
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