科学は、実験と観察で得られたデータをもとに推論を行い、命題の真偽を判断する。この場合、推論には論理や数学が使用される。しかし、科学が使用する論理や数学は必ずしも正しいとは限らない。 論理的推論や数学が現実に適用できないという例として、ゼノンのパラドックスとして有名な「アキレスと亀」をあげておこう。 亀よりも速く走れるアキレスにハンディを与え、アキレスよりも進んだ時点から亀はスタートして競争し、論理的にはアキレスは永遠に亀に追いつけないという話である。アキレスが亀がいる地点に来た時には、亀はそれよりも先の地点おり、またその地点にアキレスが来た時には亀はそれよりも先の地点に来ており、結局、追い越せないという論理である。この論理は、直線を無限の点から構成されていると考える数学に準拠している。 さて、「アキレスは亀においつけない。」という命題を「時速100キロで走る車は、時速10キロで走る車に追い