がん検診の害について、いろいろ吟味してきた。害があるということについての異論はないようだ。少なくとも教科書に書いてあるレベルでは理解されている。ただその害ががんの性質やがんになった人側の問題だけでなく、エコロジカルに決まっているということを理解するのは難しいようだ。その辺は十分理解できる。 がん検診を受けるか受けないか迷うような患者に対し、がん検診の害をエコロジカルなレベルで日々説明している医者にはほとんどであったことがないし、私自身もそういう説明をするのはごくごく限られたときだ。個別の臨床の現場でも理解してもらうのがなかなかむつかしい。 しかしすぐわかりそうな簡単と思うようなことで壁にぶち当たる。 がん検診をするとがんが見つかる。当たり前のことだ。進行した状態で見つかることもある。それも当然だ。しかし、検診を進めるべきだという人の中に、こんな進行したがんが見つかるんですよ、こんながんの死