筆者の元主治医で、東大病院病院長の瀬戸泰之氏(5月20日、東大病院) HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN <食道癌のステージ3を宣告されたベテラン記者が、主治医が治療方針について説明を尽くさないことに疑念を抱き転院した。退院後、元主治医への「取材」を通して見えた、日本医療の限界と課題とは> 東大病院から逃亡、転院先で手術回避、そして生き延びた──。 元日経ビジネス記者でジャーナリスト歴30年の金田信一郎は昨年3月、突然ステージ3の食道癌に襲われた。紹介された東京大学医学部附属病院(東大病院)に入院し、癌手術の第一人者で病院長が主治医になったが、曖昧な治療方針に違和感を拭えず、セカンドオピニオンを求めて転院。しかし転院先でも土壇場で手術をせず放射線による治療を選択し、今では以前とほぼ同じ日常を取り戻した。 金田は先頃、自らの体験を題材にしたノンフィクション『ドキ