重量級ライトノベル 「軽い小説をライトノベルと呼ぶ」という認識の当てはまらない作品が、時々あります。本シリーズはまさにそれ。「重量級ライトノベル」の名にふさわしい作品です。 今巻の大筋としてのシナリオ展開は、大きな意志決定(による行動選択)が二回、大きな戦闘(の勝敗による展開分岐)が二回あるのみです*1。にも関わらず、本作は十分に読み応えのある、ありすぎる作品に仕上がっています。それはつまり、心理描写、戦闘描写が濃密に詰まっているからということになるのでしょう。 大甲冑というシステム 本作の戦闘は、「大甲冑」なるパワードスーツ的なアイテムを中心に展開します。「大甲冑」は軽装兵が束になってかかっても敵わない代わりにコストも馬鹿高いという代物で、この手のアイテムは作品の重点を「少数精鋭同士の局所戦闘」に傾けます。*2 こういう作風には、長所と短所があります。長所は、少数精鋭である個人に焦点を当