今年もいよいよ終わりが近づいてきた。 十一回目の満月の夜。あと一ヵ月後に今年は死んで、何の約束もない次の年を迎える。 その時までわたしたちが生きている保証は、あの透明な海月(くらげ)ほどもない。 今の人類にとって、月日とは失われるもの。死という単語はあらゆるものに適用される。聞くところによると、むかしの人たちはもっと明るい価値観を持っていたらしい。暦(こよみ)は消費するものではなく循環(じゅんかん)するもの、巡るものとして扱われていたとかなんとか。 要は同じ情報(データ)の使いまわしだ。節約にもほどがある。かつての人類は贅沢(ぜいたく)だったというけれど、わたしたちから見たら大した倹約家だと思う。 ただいま西暦、たぶん三千年ぐらい。 人類はとっくに終わっていて、毎日は繰り返される保証はなくて、その代わり誰も争わなくなって、人間が何千年もかけて積み上げた文明はぜーんぶ空に捨ててしまって、わた