教誨師とは、拘置された死刑囚と唯一面接できる民間人である。面接を望む死刑囚と対話し、ときに悔悟を促し、教え導く役割を負う。そしてさらに、面接を続けた死刑囚の刑の執行にも立ち会うという、過酷な任務でもある。 無報酬の「仕事」であり、多くの場合、牧師や僧侶など宗教家が、その役割を担う。そんな過酷な仕事をタダで誰がやるのか、と疑問が起こるが、宗教家にとって「教誨師」という肩書は「まことに美しい響きを持っている」そう。新興宗教もある程度組織が整うと教誨活動を申し出るのだという。 ただし、本書に登場する教誨師、浄土真宗の僧侶である渡邉普相は、そんな肩書に惹かれて教誨師になったわけではない。昭和30年代、浄土真宗の世界では知る人ぞ知る、型破りな僧侶であった篠田龍雄という教誨師に、自分の仕事を継いでほしいと言われたのだ。広島で被爆して多くの死を目の当たりにし、その後売春婦救済の社会貢献活動に取り組みたい
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