ロバート・キャパというカメラマンが第一次インドシナ戦争の取材中、地雷の爆発に巻き込まれて死んでから半世紀以上が経つ。だが彼が撮った写真は依然として人気が高く2013年に横浜美術館で行われた写真展には5万6千人以上の入場者があったという。 キャパの評伝を翻訳し、彼の出世作となった「崩れ落ちる兵士」に疑問を抱いていた沢木耕太郎は、「旅するカメラマン」であったキャパの足跡を追う旅に出る。訪れた土地、泊まったホテル、見た風景の“今”を写すためでもある。キャパが激しい一生の中で捉えた一瞬の現場に立ち、彼の人生を追走し追想する。 1913年、キャパはハンガリーのブダペストでユダヤ人の両親の下に生まれた。ベルリンでカメラマンの修業中、ナチス化するドイツからウィーンへ逃亡し、その後パリに住まう。そこで後の写真家集団「マグナム」となる仲間たちと知り合った。キャパの人生を方向付けた恋人、ゲルダ・タローと出会っ
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