2015年9月、翁長雄志知事は国連人権理事会で演説し「沖縄の自己決定権と人権がないがしろにされている」と訴えた。 沖縄の知事が国連で基地問題を人権侵害として“直訴”するのは初めてのことだった。辺野古新基地建設で国に追い詰められた沖縄ではもはや憲法だけでなく、国際法に訴える新たな取り組みが生まれている。 自己決定権とは一般的にいえば「自分の生き方や生活について自由に決定する権利」だ。個人の権利の側面もあるが、国際法である国際人権規約は、自由権規約でも、社会権規約でも、各第1部第1条に位置付け、集団の権利として「人民の自己決定権」を保障している。 なぜ人権の1丁目1番地なのか。それは、集団の自己決定権が損なわれれば、集団を構成する人々の人権が侵害される可能性が著しく高まるという考え方があるからだ。 国際法学者の阿部浩己神奈川大学教授によると、この自己決定権は今や国際法の基本原則の一つとなってお