<「崩壊の危機」を脱して回復軌道に乗り、緊縮財政下でも強固な成長は可能だと実証> ここ何年か、ユーロ圏の将来はもっぱら「いつ崩壊するか」という文脈で論じられてきた。その経済は末期的症状を呈していると、多くの人々が思い込んでいる。昨年イギリスがEU離脱を選択したのも、ユーロ圏の経済に見切りをつけたという側面もあった。 だがここにきて金融市場は単一通貨ユーロの買いに走り始めた。それには理由がある。 遅まきながら市場もユーロ圏の潜在的な力に気付いたようだ。事実、ユーロ圏は11~12年の危機をとうに脱出し、1人当たりの成長率は今やアメリカを上回っている。失業率も低下しているが、低下のペースはアメリカより遅い。ただし、これには労働参加率の違いが絡んでいる。 アメリカでは00年前後から労働参加率が低下し始めた。長期にわたる失業で求職活動を断念した人たち(失業者に数えられない)が増えているためだ。特に0