前回まで説明してきた半導体のワイヤーボンド技術は直接的に設計者が使い方を考慮できるものではなく、半導体メーカーの仕様に関するものです。半導体を選択する時やメーカーからの仕様変更の申し入れ、故障解析レポートの評価時などにおいてメーカーの情報のみで判断せず、一度立ち止まって評価内容について吟味する姿勢を忘れなければ良いかと思います。 今回から、数回にわたり半導体を使う上で考慮しなければならない接合(ジャンクション)部の温度計算の算出法について説明します。この接合部の温度は熱電対や熱画像などで測定できるものではありませんので理論に基づいた計算が一般に用いられます。 過渡温度上昇の影響 本稿では各種部品の構造や使い方について説明してきましたが半導体については使い方を特に説明はしませんでした。しかし半導体は使い方を誤ると破壊、焼損を引き起こしたり、そのレベルまでは至らないとしても部品の故障率に多大な
昨今、広入力電圧範囲DC-DCコンバーターが使用されるケースが増えてきたが、MOSFETの高速のターンオンとターンオフは、スイッチノードのリンギングを発生させ、さまざまな障害の原因となっている。そこで、本稿では、DC-DCコンバーターにおけるスイッチノードリンギングおよびスパイクのメカニズムを取り上げ、その発生メカニズムと対策方法を詳しく解説する。 はじめに 産業、自動車および通信の基幹設備に使用される広入力電圧範囲DC-DCコンバーター用MOSFETの高速のターンオンとターンオフは、スイッチノードのリンギングを発生させ、それによるスパイク(電圧)がMOSFETあるいは集積化ゲートドライバの定格電圧を越えることにもなる。コントロールされないスパイクは、システムの信頼性を低くし、あるいはひどい障害を招くことさえあり得る。 本稿では、DC-DCコンバーターにおけるスイッチノードリンギングおよび
ルネサス エレクトロニクスは2015年7月、一般的なSRAMよりも500倍以上のソフトエラー耐性を持つ独自構造のSRAMで、大容量品を追加したと発表した。 セル構造でエラー対策 ルネサスエレクトロニクスは2015年7月、一般的なSRMAよりも500倍以上のソフトエラー耐性を持つ独自SRAM「Advanced Low Power SRAM」(以下、Advanced LP SRAM)の32Mビット容量品と、16Mビット容量品のサンプル出荷を同年9月から開始すると発表した。量産は同年10月からを予定している。 ルネサス独自のAdvanced LP SRAMは、メモリセルの記憶ノードに金属やポリシリコンで電極を形成した「スタックトキャパシタ」を付加し、ソフトエラーの発生を抑制した構造的対策を施したSRAMだ。同時に、SRAMセルのロードトランジスタをポリシリコンTFTで形成。ロードトランジスタがシ
失敗しないための基礎知識、LED照明の故障要因まるわかり(3) 信頼性試験および評価方法:『LED照明信頼性ハンドブック【第2版】』から LED照明推進協議会(JLEDS)が「ライティング・フェア 2015」(2015年3月3~6日、東京ビッグサイト)のLEDステージにて講演した「故障要因まるわかり」について紹介する連載の3回目では、LED照明の寿命予測などを中心とした信頼性試験を行おうとする技術者を対象とした、照明用LEDの信頼性試験および評価に関する具体的方法について紹介します(1回目へのリンク、2回目へのリンク) 。 LEDの寿命推定 LEDの寿命を評価するための最も直接的な方法は実使用温度での連続動作試験です。一定の動作条件(動作電流、温度など)での光出力の時間変化を調べることにより寿命(光出力が初期値の所定比率、例えば70%に減衰する時間)を知ることができます。 しかしながら一般
GPUはどの程度エラーするのかについて、Oak Ridge National Laboratory(ORNL)のJim Rogers氏がGTC 2015で発表を行った。ORNLはTop500 2位のTitanスパコンを擁する研究所である。TitanはCRAYのXK7スパコンで、18,688個のNVIDIA XK20x GPUを使うシステムである。 ORNLのTitanの概要。18,688ノードからなり、各ノードは16コアOpteron+K20x+32GB DDR3/6GB GDDR5という構成 各筐体には3段に積まれたケージがあり、それぞれのケージには8枚のブレードが搭載されている。下部にあるブロワーで空気を吹きあげて冷却しており、吸気は20.5℃で、3段のケージを冷却した排気は49℃まで上昇し得る。そして、筐体の上に設置されている代替フロンを使う熱交換器で冷却される。
日常生活の中で剥き出しのマイクロチップを見かける機会はそう多くなく、その中身となるとさらに見る機会がありませんが、「見たい!」と思ったときのための開け方が解説されています。なお、あくまで教育目的の解説であり真似はしないように、熟練した人間が必要な保護アイテム(耐酸性手袋や保護メガネなど)を揃えた上で実施せよと注意書きがつけられています。 How to «open» microchip and what's inside? : ZeptoBARS http://zeptobars.ru/en/read/how-to-open-microchip-asic-what-inside まずは開けたいと思ったマイクロチップを集めて容器に入れて濃硫酸を加えます。容器にはフタをしますが、ガスが逃げられるように密閉はしないようにしておき、300度まで加熱。写真で底に敷かれている白いものは濃硫酸がこぼれたり
中央大学 理工学部 電気電子情報通信工学科 教授の竹内健氏らの研究グループは、NANDフラッシュ・メモリと抵抗変化型メモリ(ReRAM)を組み合わせた統合ストレージ・システムにおいて、信頼性を従来比32倍に改善できる制御技術を開発した。詳細を「ISSCC 2013」で発表する[講演番号12.9]。
メインメモリのScrubbing コンピュータの中では、プロセサに使われているトランジスタよりもメインメモリに使われているトランジスタの方が圧倒的に多い。したがって、プロセサよりも、メモリが故障したり、エラーしたりという頻度の方が高く、メモリのエラーを訂正することが重要である。発生頻度の高い間欠エラーに対しては、前述のSECDEDコードを使い、1ビットエラーが見つかれば、訂正されたデータをプロセサに送ると同時に、メモリにも書き戻してやれば良いのであるが、1つ問題がある。 メインメモリは容量が大きい。例えば8GBのメインメモリを100nsごとに8バイトずつ読んだとすると、順番に読んでも100秒かかる。実際の動作では、頻繁に使われる部分もあるが、連続稼働するサーバでは何十時間もアクセスされない番地も出てくる。このような番地では、1ビットエラーが発生しても長時間アクセスされないのでエラーが訂正さ
80年代末期の“亡霊”に注意、現代の修理業務でも遭遇率高し:Wired, Weird(1/2 ページ) 筆者の経験では、電気製品が不良になる原因は十中八九、電源部にある。特にスイッチング電源やモータードライバでは、ある種の部品が共通して問題になる。1988~2000年にかけて製造された電解コンデンサだ。その時期の電気製品が故障したら、これを真っ先に疑ってほしい。今回は、筆者が実際に遭遇した事例を挙げて説明しよう。 →「Wired, Weird」連載一覧 筆者は、警報機器や半導体製造装置のメーカーで回路設計や基板の不良解析を長年にわたって経験した後、今年3月に現職の企業に移った。新しい職場はメカトロニクスの専門商社であり、4月からは電子機器やその内蔵基板の修理業務に従事している。この仕事には、過去の回路設計や不良解析の経験が大いに役立っている。 修理業務のつらい所は、手元に回路図が無い製品で
エラーによる誤動作を防ぐ方法の1つが、中性子がヒットしてもエラーが起こりにくいラッチやフリップフロップを使うという方法である。 前述したゲート出力に発生するノイズ電圧は、吸収される電子の電荷量をゲート出力の寄生容量で割った値(V=Q/C)となる。このため、ゲート出力に配線やトランジスタのゲート領域を接続して寄生容量を増やしてやれば、容量に逆比例してノイズは減少する。このようにして寄生容量を増やしたラッチを作ると、中性子ヒットによるエラー率を下げることができるが、負荷容量が大きくなるので、動作速度が遅くなる、スイッチにともなう消費電力が増えるというコストがかかる。なお、ドレインの面積を増やしても寄生容量を増やすことができるが、中性子ヒットで発生する電子を吸収する面積が増えて吸収する電荷も増えてしまうので、エラー率はあまり改善されない。 これに対して、2つのラッチで情報を2重化して記憶すること
省電力技術の重要性が一段と増している。国内の電力の6割を使うモーターの消費電力を引き下げたり、太陽光発電システムの出力量を高められる技術の注目度が高い。その鍵を握る技術の1つが「SiC」である。だが、SiCには弱点があった。信頼性が既存技術に比べて低い。どうすればよいのか。ロームの取り組みを紹介する。 国内の電力事情が予断を許さない中、発電技術、蓄電技術に加えて、省電力技術に注目が集まっている。なかでも効果的なのが、電力の変換ロスを引き下げる技術だ。なぜなら、電力変換技術は省電力に役立つだけでなく、発電や蓄電をも改善するからだ。 交流で送配電されてきた電力を、家電や電子機器で利用可能な直流に変換する、太陽電池が発電した直流を交流に変換して売電する、リチウムイオン二次電池が出力する直流を交流に変換して電気自動車のモーターを動かす……。いずれの場合も、電力変換技術が欠かせない。その改善によって
回路の誤動作 トランジスタが壊れたり、配線が切れたりすると、当然、プロセサは正しい動作をしないので誤動作が起こる。このような故障は自然に直ってしまうことはないので、固定故障という。固定故障は故障した部品を交換するまで直らないという点ではやっかいであるが、同じ動作をさせると毎回同じように誤動作するので、故障個所を見つけるのは比較的容易である。 一方、外部からの雑音などで、一時的に誤動作する場合がある。この場合は、部品が壊れたわけではなく雑音が無くなれば正常に動作するので、誤動作は一過性である。このような故障を間欠故障という。間欠故障は部品が壊れてしまうわけではなく、原因がなくなれば正常動作するという点は良いのであるが、誤動作が発生したことに気付かないと誤った処理結果が見逃されてしまう。これが銀行のお金の勘定で、元帳などに誤ったデータが書きこまれてしまうと影響が大きく、訂正には膨大な手間が掛る
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く