こういう本を出すあたりに、みすず書房の心意気を感じる。 本書は、20世紀初頭の数学基礎論論争、ワイルの伝記、そしてフォン=ノイマンの伝記の三部構成になっている。 数学基礎論においては、ヒルベルト、ブラウアー、ラッセルのような数学者・論理学者だけでなく、現象学のフッサール、論理哲学論考のウィットゲンシュタインのような哲学者も興味をもっていたことに驚く。アリストテレスのような学問すべてを扱っていた時代を除けば、この時期ほど数学と哲学とが接近した時期はないだろう。 ラッセル、カルナップ、クワインと論理哲学の系譜が続く。しかし、ホーリズムを唱えたクワインが、形式主義、直観主義、論理主義をそれぞれ唯名論、唯心論、実在論と中世の神学論争に例え、その不毛さを批判していた話がされていてとても興味深い。 結局のところ、上の三主義のどれが「正しい」ということはない。ただ、本質的に無限を扱う解析学をうまく構築で