■推薦300人から“世界最高”追求 ノーベル賞発表の季節である。とりわけ文学賞は、発表日からして直前でないとわからない。秘密のベールの向こうで誰が、どう選んでいるのか。9月、選考の地であるスウェーデンのストックホルム市を訪ねた。(編集委員・由里幸子) トーマス・マン、ヘミングウェー、ベケットらが受賞し世界最高の文学賞として揺るぎないノーベル文学賞。受賞者の顔ぶれは栄光に満ちているが、時に波がたつ。 ■委員は5人 この夏、99年の受賞者ギュンター・グラス氏が「ナチスの武装親衛隊」に入っていたと明らかにしたとき、ノーベル文学賞を返還せよという声も一部に起きた。 ノーベル賞を運営するノーベル財団の立場は「取り消さないのが原則」。選考にあたるノーベル委員会のペール・ベストベリィ委員長(72)もノーコメントとしながら、「彼の受賞を誰も残念だとは思っていないだろう」と話す。 栄冠への道のりは長く、何段