現代文学を代表する作家・安部公房(こうぼう)(1924~93)は時代の先端を駆け抜け、国際的にも高い評価を集めた。生涯を振り返りつつ、作品世界の魅力をお伝えしたい。 安部は没後20年の今年も熱い人気を誇る。名作戯曲『友達』は今月、東京の新宿と高円寺で公演があった。高円寺の公演を製作した俳優の奥村飛鳥さん(32)は「海外でも上演したい」と語る。ネット配信の手作り研究誌「もぐら通信」など一般の人の研究もさかんだ。 作品の特徴として語られてきたキーワードの一つは「国際性」。旧満州(中国東北部)で育った安部は日本的私小説を嫌い、乾いた文体を特徴とした。代表作『砂の女』が約40言語に翻訳されるなど、海外の評価も高く、ノーベル賞候補にもなったとされる。 もう一つのキーワードは「先進性」。東京大医学部を卒業した安部は、大脳生理学など科学の知を背景に変化していく人間社会の先端部分を描こうとした。水中生活が
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