「日本人だったら一生に一度くらい富士山に登るべし」 そんな日本国民としての在るべき姿みたいなことを言われたところで、標高3,700 メートルのところにあるチベット・ラサで悲惨なほどの高山病に見舞われた記者にとっては、そんな言葉なんの効力もない。誰がなんと言おうと、二度と高所なんかへ行くものか! それなのに、ご縁というのはまったくもって理不尽極まりない。夏休みを目前にして、同僚のハトポンがどうしても富士登山がしたいと訴えだしたのでした。 富士山は標高3,776メートル。おいおい、ラサよりも70メートル以上高いじゃないか。30代半ばを前に自分探しがどうとかいわれても私には関係ない。富士登山なんて考えただけで息苦しい! 当初はキッパリと提案を断っていたのですが、「やっぱり日本人として登ってみたいかも……」なんて欲が出てきて結局同行することになったわけです。そうさ、同僚の喜ぶ顔が見られるだけでもい
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