リンゴやニンジン、もしくは少しでも歯ごたえのある具が挟まれたサンドイッチなどを咀嚼する音ほど、私にとって耐えがたいものはない。想像しただけでも背筋が凍る。 そう感じるのは私だけではないようだ。私が同僚にざっと尋ねてみただけでも、多くの仲間が、咀嚼音を不快に感じていた。しかし、これは真性の疾患なのだろうか、それとも、ただの音の好みの話なのだろうか。 〈音嫌悪症候群〉を意味する〈ミソフォニア〉は、希少疾患だ。アムステルダムの〈学術医療センター(Academic Medical Center: AMC)〉によると、ミソフォニア患者は、特定の音に不快感、怒り、苛立ちを覚えるという。 AMCは、ミソフォニア患者が訴える音を「咀嚼音や激しい呼吸音など、通常は無害な音」と説明している。しかし、ここで〈無害〉という言葉が使われていることに、私はまったく納得がいかない。こちらがその典型的な音だ。 Googl