菱湖書島黄楊根杢盛り上げ駒 (石上義孝氏所蔵) 「書体への誘い・菱湖(巻菱湖)」(▼別項参照)の書体の由来のところで取り上げた字母紙(下記画像)が、豊島龍山の残したもの。その実物の駒が、2010年11月に開催した「将棋駒研究会の展示即売会」(▼別項参照)の会場にて、持参していただいた方がいらしたので、撮影しここに掲載させていただくことにした。 写真では大きさはよくわからないだろうが、実物は現代の駒に比べると、かなり小ぶりである。古色を帯びた根杢の味わいに、流麗な「菱湖」の文字が駒形いっぱいに収まっている。駒銘(上写真)は、ご覧のとおり「龍山作」で彫りである。 私(酔棋)自身、駒に携わって30年以上にもなるが、これまで「龍山作」の実物の「菱湖」お目にかかったことがなかったから、驚きを禁じえなかった。この駒は龍山作によく見られる盛り上げの漆のぽっちゃり感もあまりなく、書体と同様に洗練された作り