巨額の民間資金が新興国に向かうが・・・ この資金はどこに向かうのだろうか? まず、新興国に流れることが考えられる。例えば、先進国では財政赤字が削減されてゼロになるが、民間セクターの貯蓄超過は維持されると想像してみよう。この場合、先進国全体では3兆ドル(GDPの7%相当額)の経常収支黒字が生じることになる。OECD全体が巨大なドイツのごとき存在になり、裕福な国々は貧しい国々に資本を流し込むことになるわけだ。 しかし、現実にはそうならないだろう。先進国が全体として3兆ドルの経常黒字を出せば、新興国は全体として3兆ドルの経常赤字を出すことになるが、実際のところ新興国は経常黒字を出すと予想されているからだ。 米ワシントンを本拠地とする国際金融協会(IIF)の最新の予測によれば、新興国の経常黒字は合計で約3000億ドルに達し、その3分の2を中国の黒字が占める見通しだという。この合計額は2年前の実績よ