宗教から離れ格差解決を 欧米・イスラムの価値観の違い、紛争の原因 今日の紛争を語るときに無視できないのは、キリスト教を土壌に持つ欧米とイスラム教世界の対立の構図だ。多摩美術大学教授の中沢新一氏は、両宗教の価値観の違いが2つの世界に経済格差をもたらし、深刻な対立につながったとみる。 人間の脳はほかの動物と違い「過剰」な部分を持つ。この過剰が様々な「価値」というものを生み出してきた。資本主義はそこから発達した。 欧米を中心に広がった資本主義は「増殖」を是とする。つまり、お金を増やすことを罪悪とはみなさない。この考え方はキリスト教とは本質において抵触しない。 一神教は本来、増殖を肯定しないが、キリスト教は一神教でありながら、父と子と聖霊の三者を「三位一体」として信仰の対象にする。曖昧を許容する余地があり、とりわけ「聖霊」が増殖性を秘めている。そこに、資本主義の発達を促す源泉があった。 ■アッラー