物価高を巡り岸田文雄首相が守勢に回る場面が増えてきた。野党は大規模金融緩和に伴う円安が物価高に拍車をかけたと追及し、首相も円安の行方に気をもむが、円安は「アベノミクス」の事実上のキモでもある。安易に見直せば自民党内に強い影響力を持つ安倍晋三元首相との関係にひびが入りかねず、首相は「物価の安定」と「党内の安定」のどちらを優先させるかという難題に直面している。 進む「悪い円安」 物価高を危惧 「円安が一層進み、物価高が顕著になった」「異次元の物価高で『岸田インフレ』だ」。立憲民主党の泉健太代表は1日の衆院予算委員会でまくし立てた。泉氏は5月26日の衆院予算委でも、物価抑制のため金利を引き上げるべきだと提案。首相は同日、円安について一般論と断りつつ「生活者には物価の引き上げで大きなマイナスになる」との認識を示したが、予算措置などで物価高に対応するとし、金融緩和の見直しには同調しなかった。 円安は