――まずは直木賞受賞、おめでとうございます!受賞後、生活に変化はありましたか? 松井さん 賞の発表直後にもいくつか原稿の締切りがあったのですが、翌日からいろいろな方が会い来て下さるし、本の打ち合わせがあったりして2日間は原稿用紙1枚が書けず、食事もパンを口に入れるぐらいしかできませんでしたね(笑)。 ――HP内のブログ、「今朝子の晩ごはん」では、ご自身の日々の献立を綴られていますが、それどころではなかったんですね。 松井さん そうですね(笑)。取材を受けても記事を見る暇がないので、受賞した実感もわかなくて、感慨にふける間もなく仕事をし続けている状態でした。ようやく落ち着いてきたところです。 ――『吉原手引草』では、あまり知らなかった江戸の世界の面白さに一気に引き込まれたのですが、吉原一の花魁・葛城が姿を消した謎を探る物語を書くにあたり、遊郭で働く人たちが次々に証言していく形をとられています