3日前のエントリで、Dreber, A. et al.の"Winners don't punish"を紹介したのだが、そのときにAxelrodの有名な「しっぺ返し戦略("Tit for Tat strategy")」について触れた。じつは、そのしっぺ返し戦略は、真っ当なゲーム理論家にとっては、お笑い話の幻想にすぎず、決して他を圧倒するような戦略になり得ないのは常識である、という話。 この話は、Tim Harfordのブログ経由で、ゲーム理論の権威であるKen BinmoreのAxelrodの本に対する書評にあった。なんとこの書評は10年前に書かれたものだ。まさに蒙を啓かされるとはこのことか。 実際に網羅的なシミュレーションを行うと、しっぺ返し戦略が生き残るのは20%未満、それも中間状態の一時的現象にすぎず、結局最終的には「ずるい戦略」が勝ち残ってしまうそうなのだ。Probst, D. 19