2015年のモードを決定付けたのがceroの『Obscure Ride』だとしたら、今年その役目を担うのはこの一枚ではないか。昨年リリースした4曲入りのEPとライヴの評判でバズを巻き起こし、ここ1年にかけて東京のインディー・シーンを賑やかせてきた若き3人組、D.A.N.によるファースト・アルバム『D.A.N.』は、時代の空気を捉えたレコードに特有の眩い輝きを放っている。〈満を持して〉という表現が、ここまで似合う作品も珍しい。 まず強調したいのは、ロック受難の昨今において、広義のクラブ・ミュージックにおけるテクスチャーを吸収しながら、既存のフォーマットから解放されたバンド・サウンドを提示していること。これは近年の世界的なトピックでもあるが、90年代のトリップホップやXX以降のUKバンドが内包するクールな闇や、テクノやハウスが持つミニマルなビート、インディーR&Bなど同時代の音楽におけるエッセ
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