「人生は、終わりよければ、すべてよしですよ」 「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる水木しげるさんと連れ添ってきた夫人が、知人の編集者と話していて「思いがけず口に出た」感慨が、副題になったこの言葉。妖怪漫画の巨匠を支えてきた「女房」が半世紀を振り返るエッセーだ。 結婚生活前半の貧乏話はまさにゲゲゲ。見合いの5日後に結婚、鳥取から東京に出てきてみれば、「吹けば飛ぶような」粗末な家暮らし。夫が身を置いていた貸本漫画業界は斜陽で満足に原稿料も払ってもらえない。「家の周りに野草も生えてたし餓死はしないと思ったけれど……」 安く買った、腐る直前のバナナで腹を満たし、税務署員には「家族が食べていける所得じゃない」と疑われるなど、苦労続きの生活は、「今は笑い話だけど、当時は深刻でした」。しかし妻は、同郷の山陰生まれで妖怪という「目に見えない世界」を追究する夫の熱意を理解していた。「オーラを立ち上らせ、誠心誠意机に